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2019/02/26

がん患者が幸せを感じられるきっかけとは

福原麻希=医療ジャーナリスト

 がんの治療中はどうしても気持ちが不安定になりやすい。がん患者は、どんなことで幸せのきっかけをつかめるのか。1月12日、横浜市の慶應義塾大学大学院で公開講座「がん患者の幸福学」および「がん患者の幸せを考えるワークショップ」が開催された。後半はトークショーで話し合われた内容を紹介する。(前半はこちら


 「キャンサーギフト(がんからの贈り物)」という言葉がある。がんと診断され、治療を受けているとき、患者は病気や副作用の症状だけでなく、先が見えない不安から身体も心もつらかったり苦しかったりする。だが、自分の人生や病気の経験、周囲の人々の存在や言葉を意識することで、これまで見えなかった何かに気付いたり、感謝するようなできごとが起きたりすることがある。トークショーの最初の話題はこの「キャンサーギフト」だった。

キャンサーフィットネス代表理事 広瀬眞奈美さん

 例えば、広瀬さんはキャンサーフィットネスで運動教室を開き、がん患者やがんサバイバー(がんを体験した人)が運動によって生活の質を高めるサポートをしているが、自分自身も参加者に励まされていると話す。

 「運動教室に参加されたがん患者さんが『いまの自分にはできない』と思っていたことが1つできるようになり、2つ目もできて、3つ目も達成して、『こんなにできた!』と思えると、それがその方にとって前を向いて生きていく自信になります。そんなみなさんの姿を見て、私も『人のために生きることが、こんなに幸せ』と気付くことができました」

 広瀬さんも乳がんサバイバーで、今年、術後10年目を迎えた。

 岩城さんはマギーズ東京を訪問する患者の話を聞いたり、相談に乗ったりしている日々を振り返り、「がんになったからこそ、沈殿していた問題が解決されて幸せをつかみ取っていく患者さんの様子に『幸福学』を学んでいる感じがしています」と言う。

 鈴木さんは、昨年退社した日本テレビに入社して3年目のとき、ステージ3の乳がんと診断された。8カ月休職して治療を受けたが、入院中からうつ症状に悩まされた。「幸せな生活から一転して、人生のどん底を味わった」と言う。病床で「がんになっても、幸せに生きられる社会をつくりたい」と思い、退院後はそれが決意に変わり、様々なアクションを起こしている。「がんになった経験がなかったら、いまの人生はありません。夫と出会ったきっかけもマギーズ東京設立に関わったことでした。人生はすべて自分次第と感じる日々です。でも、そのことに気付かされるまでには時間がかかりました」と話す。

秋田厚生医療センター呼吸器内科科長 守田亮 医師

 守田医師は、昨年10月まで国立がん研究センター中央病院で勤務していた。「どうしたら、患者さんにとっていい医療を届けられるか」と日々模索をしながら、いろいろな壁にぶつかってきた。診療で疲れると、勤務先から自転車でマギーズ東京まで行き、外観を見ながら「秋田にもこんな場所を作りたい」と思っていたという。

 「キャンサーギフトというのは、決して簡単な言葉ではない。この言葉を言えるようになるまでには、いろいろなことがあり、やっとたどりついたんですよね。がん患者さんの幸せは、患者さんの数だけその幸せの形があると思います」と話す。

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