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レポート

2018/12/25

第59回日本肺癌学会より

小細胞肺がんに20年ぶりの治療薬候補

免疫療法や抗体-薬物複合体などに期待

森下紀代美=医学ライター

分子メカニズムや蛋白発現で治療を選択する時代に

 次に期待される薬が、DLL3抗体に細胞傷害性物質を結合させた抗体-薬物複合体のRovalpituzumab tesirine(Rova-T)だ。膜蛋白のDLL3は、小細胞肺がん患者のがん細胞表面に多く発現し、発現が高度であると予後が不良であることが報告されている。

 Rova-Tの第I相試験では、DLL3を高発現している患者で奏効が得られることが示された。その一方で、がん遺伝子であるMycを過剰発現している場合、DLL3は発現しないこともわかっており、このような場合はRova-Tが効かない可能性がある。

 Mycが過剰発現していないがんでは、小細胞肺がんで高率に陽性となる分子マーカーである甲状腺組織特異的転写調節因子(TTF-1)が多く発現することも報告されており、TTF-1が過剰発現している患者ではDLL3も発現していると考えられる。そこで、小細胞肺がん患者をMycとTTF-1の発現で分け、TTF-1が過剰発現している患者にRova-Tを使う方法が考えられる。

 Rova-Tは現在、日本では第III相試験が行われている(https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/clinical_trial/info/clinical_trial/to_patients/T4481/index.html)。

 一方、Mycが過剰発現している患者では、オーロラキナーゼ阻害薬が検討されている。

 この他にも、小細胞肺がんの治療薬として、すでに乳がん卵巣がんで承認されているPARP阻害薬、まだ第I相試験の段階であるがEZH2阻害薬などが今後登場する可能性がある。EZH2阻害薬は、細胞増殖の調節機能を持つ蛋白質EZH2を標的とする。

 佐々木氏は「小細胞肺がんの治療においても、分子メカニズムや蛋白発現などで対象を振り分け、治療を行う時代がすぐそこまで来ているのではないか」と述べた。

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