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レポート

2018/12/25

第59回日本肺癌学会より

小細胞肺がんに20年ぶりの治療薬候補

免疫療法や抗体-薬物複合体などに期待

森下紀代美=医学ライター

治療は18年間変わらず

 2000年以降に行われた検討の一つが、日本で行われた第III相のJCOG0202試験だ。未治療のLDの患者に対し、標準治療であるPE療法(1サイクル)と多分割照射同時併用療法を行い、安定状態以上の効果が得られた患者を、さらにPE療法を3サイクル行う群、または新たな治療法としてPI療法を3サイクル行う群に、ランダムに割り付けた(K. Kubota, et al. Lancet Oncol 2014;15:106-13)。

 主要評価項目である全生存期間(OS)のハザード比は1.09(95%信頼区間:0.80-1.96)、p=0.70となり、両群に有意差はなく、PI療法がPE療法に替わることはできなかった。

 一方、EDの2次治療では、JCOG0605試験で3剤を併用するPEI療法(シスプラチン+エトポシド+イリノテカン)の良好な結果が示された。この試験では、1次治療の化学療法または化学放射線療法が奏効し、治療終了後90日以降に再発した小細胞肺がんの患者を対象に、PEI療法とノギテカンを比較。PEI療法では、副作用の血液毒性の予防のため、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が使用された(K. Goto, et al. Lancet Oncol 2016;17:1147-57)。

 主要評価項目であるOSのハザード比は0.674(90%信頼区間:0.51-0.88)、p=0.0079となり、PEI療法が有意に優れる結果となった。

 しかしながら、PEI療法は血液毒性の強さが課題であり、佐々木氏は「このレジメンを導入している施設は限られるのではないか」と話した。

免疫チェックポイント阻害薬で生存期間が延長

 佐々木氏は「腫瘍量に治療戦略を考えるうえでの重要なヒントが隠されている」と、北里大学病院呼吸器内科で2008年から2016年に診療を行った小細胞肺がんの患者277人の予後を示した。

 LDは91人、EDは186人、OS中央値はそれぞれ37.2カ月、13.7カ月となり、LDのほうが予後は良好だった。さらに、2017年に発刊された肺癌取扱い規約第8版(日本肺癌学会編)を用いて、遠隔転移を示す因子で分けると、遠隔転移のない場合と比べて、遠隔転移の範囲が広いほど予後は不良だった。転移の有無と腫瘍量が小細胞肺がんの予後に強く影響することが示された。

 また別の検討では、小細胞肺がんが進行する過程では、遺伝子変異により、腫瘍の不均一性(tumor heterogeneity)が増す可能性が示されている。不均一性がある腫瘍では多様な性質を持つがん細胞が混在しているため、殺細胞性抗がん薬は単剤では効きにくいとされる。小細胞肺がんでは、このような腫瘍の不均一性を考慮した治療戦略が必要と考えられる。

 小細胞肺がんでは腫瘍遺伝子変異量(がん細胞でみられる遺伝子変異の数)が多いことから、期待されるのが免疫療法である。免疫療法は、腫瘍遺伝子変異量が多い場合に効果が高いと考えられ、小細胞肺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害薬の第III相試験が複数行われている。

 最近結果が報告されたのが、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを1次治療で用いたIMpower133試験である。対象は未治療のEDの患者で、カルボプラチン+エトポシド療法にアテゾリズマブまたはプラセボを追加する群に、1対1で割り付けた。導入療法としてこれらの治療を4サイクル行い、その後、維持療法としてアテゾリズマブまたはプラセボを投与した(L.Horn, et al. N Engl J Med 2018年9月25日オンライン版)。

 主要評価項目であるOSの中央値は、アテゾリズマブを投与した群(アテゾリズマブ群)12.3カ月、プラセボを投与した群(プラセボ群)10.3カ月、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.54-0.91)、p=0.007となり、アテゾリズマブ群で有意に延長した。1年後の生存率はアテゾリズマブ群51.7%、プラセボ群38.2%だった。

 ただし、脳転移や肝転移がある患者でみると、アテゾリズマブとプラセボの効果に差はなく、腫瘍の不均一性に対する効果の点で課題が残った。また、アテゾリズマブ群では、プラセボ群よりも完全奏効(CR)例は多かったものの、奏効率は変わらず、進行(PD)例はむしろ多く、腫瘍が大きく縮小するわけではないと考えられた。副作用は、アテゾリズマブを併用しても大きな増加はなかった。

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