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レポート

2018/12/11

日本放射線腫瘍学会第31回学術大会・シンポジウムより

身近になりつつある陽子線治療と重粒子線治療

X線治療や化学療法との併用でより効果を高める試みが進む

八倉巻尚子=医学ライター

陽子線治療は高精度X線治療と炭素線治療の間の立ち位置

 兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センターの出水祐介氏は、「陽子線治療の現状と課題」について解説した。

 陽子線治療は現在、小児の限局性の固形悪性腫瘍、手術による根治的な治療が困難である限局性の骨軟部腫瘍、口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く頭頸部がん、限局性および局所進行性で転移のない前立腺がんに対して、公的医療保険の適用がある。また先進医療として、脳・脊髄や肺、消化管、肝臓、膵臓、乳腺などのがんに対する陽子線治療も行われている。

 「陽子線治療の立ち位置は、高精度X線治療と炭素線治療の間であると思っている」と出水氏は説明した。3次元的に高精度なX線治療に比べても、陽子線治療は有害事象がより少ないこと期待できるため、「小児がん等の多くの疾患に対する治療がこの考え方に基づいている」。また陽子線治療はX線治療と比べて1回あたりの線量が多いため、少ない分割回数が可能である。さらに頭頸部がんや骨軟部腫瘍などは、X線では効果が得られない組織型が多いが、それに対して高い治療効果が期待できるとした。しかし重粒子線の1つである炭素線による治療ほどは1回あたりの線量は大きくなく、分割回数も少なくないため、陽子線治療の位置づけはX線治療と炭素線治療の間ということになる。

 従来は各施設が独自の線量分割を用いていたが、2016年5月以降、陽子線と炭素線は全国的に統一された線量分割を用いて治療することになっている。これは「全例登録と併せて、エビデンスを出していくという目的のため」であり、領域ごとに全施設の担当者が参加するグループで議論して決定したという。またX線治療が対象となっている疾患の大部分が陽子線治療の対象にもなっていることから、「陽子線治療は今後最も伸びる放射線治療モダリティであると予想される」と話した。

 しかしそれには保険適用疾患の拡大が必要で、いまだ「大部分の疾患が保険収載されていない」ことは陽子線治療の今後の課題の1つであるとした。また「国内の陽子線治療施設は近い将来20を数え、さらに増加すると予想されるが、3施設を有する市がある一方で、1施設もない地方もある」ことから、施設の適正配置も課題であるとした。装置のコンパクト化とコストダウンが進んでいることから、全ての都道府県に最低1施設ということも実現可能であり、「治療が必要な全ての患者さんが無理なく受けられるような配置が望ましいと考えている」と出水氏は話した。

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