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レポート

2018/12/04

第56回日本癌治療学会学術集会

患者が臨床研究をチェックするってどういうこと?

日本癌治療学会PALプログラム「模擬倫理委員会」より

福原麻希=医療ジャーナリスト

「倫理委員会」ではどんな内容を話し合うか

 今年のディスカッションのテーマは「非小細胞肺がん患者における免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブの投与量変更後の前向き観察研究」だった。現在承認されているニボルマブの投与量である体重1kg当り3mgを、患者1人当り240mgにした場合に(実際に処方される際の表記は異なる)、効果や副作用がどうなるかを検討する。前向き観察研究とは、研究を開始する時に調査対象を分け、一定の期間追跡し治療効果や予後を観察する方法。ちなみに結果からその原因をさかのぼって検討する研究は後ろ向き研究と呼ばれる。

 18人の参加者には、あらかじめ研究実施計画書と説明文書が配布され、これに従って6人ずつ3グループに分かれてグループワークが行われた。

 A班では、ファシリテーター役の大阪大学附属病院移植医療部の江口英利准教授が話し合いを呼びかけると、すぐに乳がん患者会AHARE(アシェア)から参加していた富谷彩子(さいこ)さんが疑問と提案を発表した。「変更前のニボルマブの投与量が体重1kg当り3mgということは、変更後は体重80kgの人の投与量と同じことになります。でも、日本人の男性の平均体重は70kg未満、女性は平均50kg台と言われているので、変更後の投与量は多過ぎるのではないでしょうか。副作用が心配です」。

 富谷さんは会の終了後、発言の意図をこう説明した。「研究者にとって副作用は知りたい情報ですが、患者にとってリスクになります。変更後の安全性に問題はないという前提でも、実際に研究に入ってみたら、日本人の場合は他の国の試験と異なったということは良くあるため確認しました」。

 富谷さんの発言を受けて、GIST・肉腫の患者と家族の会「Gisters」の西舘澄人さんが「GIST患者でも、グリベックの投与量が体重でなく、患者1人当りとなっています。このため、身体の大きさや体質により4錠飲める人と1錠しか飲めない人がいるため、どうして一律同じ量になるのかとすぐ考えました」と疑問を口にした。GIST患者が分子標的薬を服用する場合は、体重だけでなく「薬を代謝する能力も副作用の原因として大きな要素になる。大柄な男性が減薬されていたり、小柄な女性が最大量を服用されていたりするのを見てきました」と西舘さんはその理由を説明する。

 その後、さらに富谷さんが「副作用をチェックするときは体重の増減も検討すべき項目になりますが、研究実施計画書では体重測定の指示が『必要時』と記載されていて、曖昧です。決まったタイミングで、すべての研究対象者となる患者をチェックした方がいいのではないでしょうか」と提案した。その意見に対して、西舘さんからも「患者さんは投与量が増えると、体重減で副作用が強く出るのではないかと心配する。体調や体重に変動があったときには、自己申告してほしいと伝えなければいけませんね」と提案が出た。

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