このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2018/10/30

第60回日本婦人科腫瘍学会学術講演会・ワークショップより

毒性の低い放射線療法・効果の高い化学療法の開発が進む子宮頸がんの治療

化学療法の改善は進むが2次治療が今後の課題

八倉巻尚子=医学ライター

【手術補助療法】治療効果を高め毒性を軽減するための開発

 手術ののち、手術検体の病理組織学的な結果から、術後再発リスクが高いと判断された高リスク群には術後CCRT(同時化学放射線療法)が標準的に行われ、中リスク群には放射線療法単独が標準治療になっている。

 さらに治療効果を高めるため、高リスク群を対象に、術後CCRT後に化学療法であるTC療法(パクリタキセル、カルボプラチン)を追加する試験(RTOG0724)が進行している。また中リスク群に対しては、術後放射線療法と術後CCRTを比較する試験(GOG0263)が行なわれている。

 一方、放射線療法による術後照射の毒性を軽減するため、高リスク群を対象に、強度変調放射線治療(IMRT)を用いた術後CCRTの試験(JCOG1402)が進行中であり、2017年4月から登録が開始されている。IMRTは従来の放射線治療よりもターゲットを絞って照射するため、周辺臓器への影響が少ないといわれている。

 術後補助療法の実態に関するJGOG(婦人科悪性腫瘍研究機構)の観察研究によれば、放射線治療/CCRTを実施している施設(重複回答)は76%、化学療法単独を行っているのは72%で、「本邦では術後化学療法が普及していることがわかる」と石川氏は解説した(Ikeda Y, et al. J Gynecol Oncol.2016)。またCCRTにおける化学療法はシスプラチンが8割を占めた。補助化学療法におけるレジメンはTC療法が半数近くを占め、そのほかTP療法(パクリタキセル、シスプラチン)、イリノテカン+ネダプラチンが使われていた。

 別のJGOGの観察研究(JGOG1072S)で、術後補助療法(化学療法、 放射線療法、CCRT)が比較された結果、高リスク群(リンパ節転移陽性)および中リスク群で、術後化学療法群の予後はCCRT群と同等であった(Matsuo K, et al. Int J Cancer 2017、Matsuo K, et al. Oncotarget 2017)。またイリノテカン+ネダプラチンによる術後補助化学療法のフェーズ2試験JGOG1067が行われ、良好な結果が得られている(Matoda M, et al. Gynecol Oncol 2018)。

 そこで現在、術後CCRTと術後化学療法の比較試験が計画されている。「IMRTの有効性が確定し、術後放射線療法による毒性の軽減が明らかになれば、術後化学療法とどちらがいいのかという検討が大事になる」と石川氏は話した。

 なお、手術の前に行う術前補助療法については、これまでの臨床試験では、OSが改善したという試験もあれば、有効性は示されなかったというものもあり、結果は一致していない。ただし「それらの試験の治療レジメンは古い内容であり、最近はTP療法やTC療法あるいは分子標的薬のベバシズマブを使った術前補助療法が見直されていると思う」とした。現在、ステージIB2期からIIB期を対象に術前化学療法+広汎子宮全摘出術とCCRTを比較するフェーズ3試験EORTC55994が進行中である。

【根治的放射線療法】予後を改善するための拡大照射と化学療法の追加

 根治的放射線療法の標準治療はCCRTだが、「進行癌が対象であり、再発頻度が高いため、予後を改善することが1つの大きなテーマになる」(石川氏)。そこで治療効果を高めるための傍大動脈リンパ節(PAN)拡大照射や、CCRT前後に化学療法を追加することも検証されている。

 LiLACS試験では、術前画像検査で骨盤リンパ節転移はあるがPAN転移はない患者に対して、CCRT前にPAN生検を行い、その結果に基づき、照射範囲を広げる拡大照射あるいは通常のCCRTを行ってOSが比較される。

 また放射線治療による予後改善を目指した研究はJGOGでも行われている。根治的CCRTが行われた子宮頸がん患者を対象に、治療前画像診断を用いた予防的拡大照射野の適応を検証する試験(JGOG1083S)が開始されている。また子宮頸部腺癌に対するCCRTに関する観察研究では、臨床試験を実施するための治療方法や治療成績のデータ集積が行われている(JGOG1080S)。

 化学療法を追加する臨床試験としては、CCRT単独とCCRT+TC療法を比較するOUTBACK試験や、CCRT単独と術前化学療法+CCRTを検証するINTERLACE試験が進められている。

この記事を友達に伝える印刷用ページ