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レポート

2018/10/09

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・シンポジウムより(第4回・急性骨髄性白血病)

急性骨髄性白血病はゲノム解析の進歩で遺伝子異常に基づく治療を目指す

ほとんど全てのAML患者に遺伝子異常が見つかる時代

八倉巻尚子=医学ライター

遺伝子異常に基づく近未来のAML治療アプローチ

 一方で、日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」(2018年版)が5年ぶりに発表されたが、「治療のアルゴリズムは変わっていない」。若年者AMLの治療では寛解導入療法を行い、寛解に入れば、染色体を中心とした予後予測リスク分類で分けられる。予後良好群であればシタラビン(Ara-C)大量療法を、予後中間群あるいは予後不良群には同種ドナーがあれば同種幹細胞移植が考慮される。

 したがって現時点でAMLにおいて“プレシジョンメディスン”はまだ行われていないが、「近未来の治療アプローチとして、ゲノムシークエンスによって明らかになった遺伝子異常に合わせて分子標的薬が選択されるようになるだろう」と前田氏。FLT3遺伝子変異にはFLT3阻害薬、IDH遺伝子変異にはIDH阻害薬といった具合にである。

 AMLの治療ターゲットとなる遺伝子異常は数多いが、中でも「頻度が高いFLT3に対しては精力的に治療開発が行われている」。その1つがFLT3阻害薬であるmidostaurinの第3相試験RATIFY。18歳から59歳のAML患者3000人以上をスクリーニングして、FLT3遺伝子変異がある患者717人を対象に試験が行われた。その結果、標準治療へのmidostaurinの追加で予後が改善することが示され、FLT3阻害薬の有用性が証明された。前田氏は「このmidostaurinやソラフェニブはFLT3以外のターゲットも阻害するマルチキナーゼ阻害薬であるが、FLT3を選択的に阻害する薬剤も開発されている」と話した。

 またSyk(脾臓チロシンキナーゼ)は白血病の病態に重要と考えられる細胞接着分子(インテグリンβ3)の活性化に関連しており、さらにSykはFLT3の活性化に関与するともいわれている。Syk阻害薬であるentospletinib(GS-9973)の第1b/2相試験でも、有望な臨床効果が認められている。

 IDH2阻害薬enasidenibは、IDH2遺伝子変異のある再発・難治性AML患者を対象とした第1/2相試験で、奏効率は40.3%、寛解期間中央値は5.8カ月で、「サイクルを重ねるごとに完全寛解(CR)が増えた」。またIDH1阻害薬ivosidenibはIDH1遺伝子変異のある再発・難治性AML患者に対する第1相試験で臨床的効果を示している。どちらも米国では承認されている。

 選択的BCL-2阻害薬venetoclaxは第2相試験でIDH1/IDH2遺伝子変異のあるAML患者でも効果が見られており、「IDH阻害薬とBCL-2阻害薬の相乗効果も期待されている」とした。さらにCD33、CD123やCD98、MDM2をターゲットとした治療薬、さらにPD-1やPD-L1などに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発も進んでいる。

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