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レポート

2018/10/9

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・シンポジウムより(第4回・急性骨髄性白血病)

急性骨髄性白血病はゲノム解析の進歩で遺伝子異常に基づく治療を目指す

ほとんど全てのAML患者に遺伝子異常が見つかる時代

八倉巻尚子=医学ライター

 白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液がんの治療は、従来からの化学療法に加えて分子標的薬が使われるようになり、また最近ではがん免疫療法といった新しい方法も試みられている。さらに網羅的な遺伝子解析によってがんが細分化され、それぞれのタイプに対するプレシジョンメディスン(精密医療)を目指した、治療の層別化も検討されている。

 7月に神戸で開催された第16回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「造血器腫瘍に対する治療概念の進化」では、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)について、最新治療と今後の方向性が紹介された。3回目は急性骨髄性白血病についてレポートする。


 急性骨髄性白血病(AML)は、赤血球や白血球などの血液細胞がつくられる過程で、骨髄の中の未熟な血液細胞(芽球)に遺伝子異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が増える病気。シンポジウムでは、岡山大学大学院血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科の前田嘉信氏が、「急性骨髄性白血病におけるprecision medicine」と題して、AMLのゲノム解析の現状や薬剤開発の最近の動向について解説した。

遺伝子異常の組み合わせによって予後が異なる

 AMLの診断は、骨髄に白血病細胞があることを確認し、さらに白血病細胞の染色体異常や遺伝子異常を調べて病型分類される。昨今のゲノム解析技術の進歩で、「いまはほとんど全てのAML患者さんに遺伝子異常が見つかる時代になっている」と前田氏は話した。細胞の増殖や分化に関わるFLT3遺伝子やNPM1遺伝子の異常はAML患者のおよそ3割に認められる。さらに最近では、複数の遺伝子異常を持つ患者は多く、遺伝子異常の組み合わせによって予後が異なることもわかってきた。

 従来は白血病細胞の染色体異常によって予後を分けていたが、遺伝子異常も予後を予測する因子として重要と考えられるようになった。そのため欧州白血病ネット(European LeukemiaNET:ELN)では、染色体異常と遺伝子異常を組み合わせて、予後リスクを良好、中間、不良の3つに分類している。

 がん細胞の遺伝的な情報をもとに治療開発や予後予測を行い、精密な医療(プレシジョンメディスン)を実施しようとする試みは世界的に行われている。日本血液学会も「造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン」(ウエブ版)に、臨床的に有用性の高い遺伝子異常とそれに該当する血液がん、さらに遺伝子異常に関連する薬剤を掲載している。「今後日本でも網羅的に遺伝子異常を検索するシステムが整っていくと思われる」と前田氏は話した。

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