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レポート

2018/10/2

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・シンポジウムより(第3回・骨髄異形成症候群)

予後リスクで治療アプローチが異なる骨髄異形成症候群

次世代のDNAメチル化阻害薬やがん免疫療法、キナーゼ阻害薬の開発進む

八倉巻尚子=医学ライター

染色体異常がある低リスクMDSの治療には免疫調整薬

 低リスクMDSのうち、5q欠失がある場合はレナリドミドが使われている。5q欠失を有する低リスクMDS患者において、レナリドミド投与によって赤血球輸血をしないですむ(赤血球輸血非依存性)割合が高く、染色体異常が検出されない「細胞遺伝学的寛解」の割合も高いことが臨床試験(MDS-003、MDS-004)で示されている。長期成績では「全生存期間(OS)へのベネフィットがあり、AMLに移行するリスクはレナリドミド治療をしていない人に比べて増えてはいない」と照井氏は話した。なお副作用として、好中球減少や血小板減少が2サイクル目に起こりやすいので、注意する必要があるとした。

移植適応のある高リスクMDSの治療は同種造血幹細胞移植

 MDSの治療で治癒が期待できるのは、同種造血幹細胞移植のみであるといわれている。高リスクMDSで移植が適応となる患者では同種造血幹細胞移植が勧められているが、低リスク患者には基本的に移植は推奨されていない。同種造血幹細胞移植を行うときは、大量の化学療法などによる移植前処置を行った後、あらかじめドナーから採取した造血幹細胞を投与する。通常、強力な前処置が行われるが、高齢者などでは強度を下げた前処理が行われることもある。高齢者を対象に低強度前処置を伴う同種造血幹細胞移植を行った試験で、OSに関して、「IPSS低リスク患者では移植のベネフィットが見られないが、高リスク患者ではベネフィットが認められた」と照井氏は説明した。

 ただし同種造血幹細胞移植を行ったMDS患者の中でも、がん抑制遺伝子であるTP53に変異がある場合は、TP53遺伝子変異がない場合に比べてOSが短く、遺伝子変異の有無で層別化できることが示唆されている。

移植適応のない高リスクMDSの治療はDNAメチル化阻害薬

 移植適応がない患者にはDNAメチル化阻害薬のアザシチジンが使用される。欧米で行われた臨床試験(AZA-001試験)では、高リスクMDSに対するアザシチジン投与によりOSの延長が示されている。さらに最近の報告では、メチル化阻害薬を投与したMDS患者において、芽球割合で評価する「形態学的」な効果判定で効果が認められ、しかも細胞遺伝学的な完全寛解に至った人ではそうでない人に比べて生存が良好だった。このため「形態学的なレスポンスだけでなく、細胞遺伝学的なレスポンスも治療効果の評価には必要ではないかということが示されている」と照井氏は説明した。 

新規薬剤の開発がかなり進んでいる

 MDSに対しては、アザシチジンの次の世代のDNAメチル化阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬、キナーゼ阻害薬などの開発が行われている。

 例えば、高リスク患者を対象に次世代DNAメチル化阻害薬であるSGI-110(guadecitabine)では第3相試験が進行している。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬とアザシチジンの併用療法や、BET阻害薬(ブロモドメインタンパク質とアセチル化されたヒストンとの結合を阻害する薬剤)、LSD1(リシン特異的脱メチル化酵素1)阻害薬などの試験も進められている。

 また免疫チェックポイント阻害薬との併用も検討されている。抗PD-1抗体のニボルマブとアザシチジンの併用療法の第2/3相試験、ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブ、アザシチジンの併用療法の第2相試験、さらに抗PD-1抗体のペムブロリズマブや抗PD-L1抗体のアテゾリズマブとアザシチジンの臨床試験なども進行中である。

 キナーゼ阻害薬としては、メチル化阻害薬が無効の高リスク患者を対象にマルチキナーゼ阻害薬のrigosertibの第3相試験が行われており、「2018年1月時点の中間報告の結果から、さらに症例数を増やして試験が継続されることになっている」という。

 今後もMDSの病態が解明されるとともに、治療開発がさらに進むと予想される。

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