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レポート

2018/9/25

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・シンポジウムより(第2回・多発性骨髄腫)

加速度的に治療薬が増えた多発性骨髄腫

治癒困難な病気から治癒可能な病気を目指す

八倉巻尚子=医学ライター

 白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液がんの治療は、従来からの化学療法に加えて分子標的薬が使われるようになり、また最近ではがん免疫療法といった新しい方法も試みられている。さらに網羅的な遺伝子解析によってがんが細分化され、それぞれのタイプに対するプレシジョンメディスン(精密医療)を目指した、治療の層別化も検討されている。

 7月に神戸で開催された第16回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「造血器腫瘍に対する治療概念の進化」では、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)について、最新治療と今後の方向性が紹介された。2回目は多発性骨髄腫についてレポートする。


 白血球の1つであるB細胞(Bリンパ球)は異物が入ってくると「形質細胞」に変わり、抗体をつくって体を守る。多発性骨髄腫は、骨髄の中の形質細胞ががん化した病気で、がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)からは異常な抗体(M蛋白)が過剰に作られる。シンポジウムの中で、埼玉医科大学総合医療センター血液内科の木崎昌弘氏が、多発性骨髄腫の初回治療、地固め療法と維持療法、再発・難治例に対する治療、そして次世代の治療について解説した。

初回治療は早期からの強力な治療で深い寛解を目指す

 「2000年以降、多発性骨髄腫の領域においては非常に多くの薬が導入され、それに伴って治療成績が上がっている。しかし生存曲線を見ると、右肩下がりで、いまだ治癒できない病気である」と木崎氏は述べた。

 近年、遺伝子解析が進み、多発性骨髄腫の進行の仕方が詳しくわかってきた。初期の腫瘍細胞から、同じ遺伝情報をもつ細胞(クローン)が増える場合や、そこに何らかの遺伝子変異が入った細胞が増える場合、あるいは新しいクローンが増える場合など、さまざまな変化が起こり、病気は進行する。徐々に悪性度の高いタイプも出現するため、「早期からの強力な治療が必要となる」。

 再発を防ぐためにも「奏効を最大化して可能な限り悪性度の高いクローンを排除することが重要」で、実際、初回治療で完全寛解(CR)に至ることが長期生存につながる。初回治療としては、ボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害薬とレナリドミドなどの免疫調整薬、ステロイド薬のデキサメタゾンの3剤併用療法の効果が高いといわれている。その理由は「プロテアソーム阻害薬と免疫調整薬は性質の異なる細胞集団に作用するため」と木崎氏。さらに最近では4剤併用も検討されている。

 初発多発性骨髄腫で移植非適応の患者を対象に、抗CD38抗体ダラツムマブ(D)と標準治療の1つであるVMP療法(ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾン)を併用する試験(ALCYONE)が行われた。これは初発多発性骨髄腫に対して初めてモノクローナル抗体が使われた第3相試験。結果、VMP療法単独に比べて、D-VMP療法は病勢進行および死亡のリスクを50%減少させた。また治療しても体内に残る小さながん細胞(微小残存病変:MRD)のない患者が、D-VMP療法ではVMP療法単独に比べて3倍多く、「深い奏効」が得られることも示された。ダラツムマブを用いた初回治療の試験は他にもいくつか進行しており、「4剤併用も臨床現場に出てくる可能性がある」という。

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