このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2018/9/18

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・シンポジウムより(第1回・悪性リンパ腫)

悪性リンパ腫に新しい分子標的薬が登場、がん免疫療法の臨床試験も進む

治療開発は層別化がキーワード

八倉巻尚子=医学ライター

 白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液がんの治療は、従来からの化学療法に加えて分子標的薬が使われるようになり、また最近ではがん免疫療法といった新しい方法も試みられている。さらに網羅的な遺伝子解析によってがんが細分化され、それぞれのタイプに対するプレシジョンメディスン(精密医療)を目指した、治療の層別化も検討されている。

 7月に神戸で開催された第16回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「造血器腫瘍に対する治療概念の進化」では、悪性リンパ腫多発性骨髄腫骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)について、最新治療と今後の方向性が紹介された。今回は悪性リンパ腫についてレポートする。


 白血球の1つであるリンパ球が癌化した悪性リンパ腫は、大きくはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられる。日本では非ホジキンリンパ腫が大半を占める。非ホジキンリンパ腫は細胞の特徴によってさらに細かく分かれ、それぞれ治療方法も異なる。シンポジウムの中で、山形大学第三内科の石澤賢一氏が、非ホジキンリンパ腫の中から、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫、そしてホジキンリンパ腫について、最近の治療と展望を解説した。

【びまん性大細胞型B細胞リンパ腫】
標準治療は変わらずR-CHOP療法、今後は遺伝的な層別化が重要に


 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、成人非ホジキンリンパ腫の3分の1を占め、「治癒可能であるのが特徴である」と石澤氏は話した。治療には化学療法であるCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)に、分子標的薬であるリツキシマブを併用したR-CHOP療法が標準的に使われている。

 以前はCHOP療法が標準治療であったが、細胞障害性抗癌剤のみの治療では、「治療効果は頭打ちであった」。そこに分子標的薬のリツキシマブを加えることで、B細胞性リンパ腫の予後は大きく改善した。その後、さまざま薬剤や併用療法の臨床試験が行われてきたが、R-CHOP療法を超える効果のある治療法は見つかっていない。現在、リツキシマブをCHOP療法開始から週1回連続8回投与するRW-CHOP療法の臨床試験が日本で進行しており、その結果が期待されている。

 一方で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、遺伝学的に大きく2つに分けられ(胚中心B細胞型と活性化B細胞型)、予後が違うこともわかってきた。比較的予後が悪い活性化B細胞型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、治療歴のない患者を対象に、免疫調節薬であるレナリドミドとR-CHOP療法の併用、あるいは分子標的薬のibrutinibとR-CHOP療法の併用と、R-CHOP療法単独を比較する第3相試験が行なわれており、この結果は間もなく発表される見込みだ。

 さらに網羅的な遺伝子解析で、胚中心B細胞型と活性化B細胞型はそれぞれ4つのサブタイプに分かれることも示唆されている。遺伝子のタイプで予後が異なることもわかっており、「今後これら遺伝子が治療のターゲットになりそうだ」と石澤氏は話した。

この記事を友達に伝える印刷用ページ