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レポート

2018/09/06

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・教育講演より

日本人に合った投与法の開発が進む食道がんの薬物療法

免疫チェックポイント阻害薬にも期待

森下紀代美=医学ライター

日本の標準は1次治療がCF療法、2次治療がタキサン

 日本では食道がんの治療薬として、2000年以前には5-FU、シスプラチン、ネダプラチン、ドキソルビシン、ビノレルビンなどが承認されたが、21世紀以降では2004年のドセタキセル、2011年のパクリタキセルしかない。加藤氏は「有効性の報告はかなり以前のもので、現状ではこれらの薬剤を何とか組み合わせて使っている」と説明した。

 Stage IVの扁平上皮がんに対する1次治療は、まず欧州の第II相試験でCF療法とシスプラチン単剤が比較され、全生存期間(OS)に差はなかった。そのため欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のガイドラインには、単剤またはベストサポーティブケア(BSC)が記載された。

 一方、日本の標準的な1次治療はCF療法であり、患者の状態により、シスプラチンを嘔気などが少ないネダプラチンに変更する。根拠となったのは第II相試験で、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の9407試験ではCF療法、JCOG9905試験では5-FUとネダプラチンの併用療法を評価し、奏効率は33.3-39.5%、生存期間中央値は6.6-8.8カ月となった(K Hayashi, et al. Jpn J Clin Oncol 2001、K Kato, et al. Esophagus 2014)。

 より強い1次治療を目指し、CF療法にドセタキセルの週1回投与を追加するDCF療法が第I/II相のJCOG0807試験で検討された。奏効率は62%、OS中央値は11.1カ月と良好な結果となり、ドセタキセルを追加しても血液毒性の大きな増加はみられず、好中球減少症は発現しなかった(S Hironaka, et al. Cancer Sci 2014)。この結果から、CF療法とDCF療法を比較する第III相のJCOG1314試験が現在進行中である。

 1次治療のCF療法が無効となった場合、2次治療ではタキサン系薬剤が使用される。その1つであるパクリタキセルは、第II相試験において、7週を1サイクルとして週1回の投与を6回繰り返す方法により、奏効率44.2%、OS中央値10.4カ月と高い効果が示されている(K Kato, et al. Cancer Chem Pharm 2011)。

 食道がんに対する新規薬剤への期待は高く、さまざまな開発が行われてきたが、なかなか成果につながっていない。分子標的薬もその1つだ。

 食道がんではEGFR発現の頻度が高いため、同じく扁平上皮がんである頭頸部がんと同様に、抗EGFR抗体の検討が行われた。しかし、ドイツの扁平上皮がんを対象とした検討では、1次治療のCF療法に抗EGFR抗体のセツキシマブを追加しても、CF療法と有意差はなかった。主に腺がんを対象とした英国の検討でも、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のゲフィチニブは、プラセボを上回ることはできなかった。

 その他にも、PI3K遺伝子変異を標的とした阻害薬の検討などが行われたが、開発は途中で中止となっている。

免疫チェックポイント阻害薬では有望な結果

 一方で、免疫チェックポイント阻害薬では有望な結果が報告されている。アルコールや喫煙で傷ついた食道の扁平上皮は、免疫療法の標的として適している可能性がある。

 日本で行われた抗PD-1抗体のニボルマブの第II相試験では、扁平上皮がんを対象とし、プラチナ製剤やタキサン系薬剤が無効となった患者に対するサルベージラインの治療(救援療法)として評価された。奏効率は17.2%、OS中央値は10.78カ月となり、このような病期としては長いOSが得られた(M Kudo, et al. Lancet Oncol 2017)。

 抗PD-1抗体のペムブロリズマブも、国際的な第II相のKEYNOTE-180試験でサルベージラインの治療として評価された。この試験には、扁平上皮がんまたは腺がんの患者121人が登録され、扁平上皮がん患者の半数は日本人だった。すべて扁平上皮がんであった日本人コホートの30人での検討では、奏効率は16.7%、OS中央値は6.8カ月と良好な結果が示された(K Kato, et al. JSMO2018 Abstract No.O2-7-1)。

 現在、サルベージラインよりも早い段階の2次治療において、ニボルマブとタキサン系薬剤の比較、ペムブロリズマブとタキサン系薬剤またはイリノテカンの比較が、第III相試験で行われている。さらに1次治療でも、CF療法にニボルマブやペムブロリズマブを追加し、CF療法と比較する第III相試験が進行中であり、結果が待たれる。

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