このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2018/9/6

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会・教育講演より

日本人に合った投与法の開発が進む食道がんの薬物療法

免疫チェックポイント阻害薬にも期待

森下紀代美=医学ライター

 食道がんの治療では、転移・再発食道がんに対する緩和的化学療法、切除可能な食道がんに対する術前・術後化学療法、手術を行わずに治癒を目指す根治的化学放射線療法など、薬物療法がさまざまな役割を持つ。

 ただし、21世紀に入ってから日本で食道がんに承認された薬は2剤のみで、他のがんで効果をあげている分子標的薬も免疫療法もないのが現状である。食道がんに対する薬剤の開発が順調に進んでいるとは言えない。

 7月に神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会学術集会の教育講演「食道癌に対する薬物療法」では、国立がん研究センター中央病院消化管内科医長の加藤健氏が、臨床病期や組織型分類などに基づいた食道がんの薬物療法について解説し、現在の標準治療に至った経緯と今後期待される展開を紹介した。


4段階に分けて治療法を検討

 世界的に見て、男性が罹るがんの中で食道がんの罹患率は7番目、死亡率は6番目に多い(LA Torre, et al. CA CANCER J CLIN 2015;65:87-108)。食道がんの組織型は地域によって異なり、日本、韓国、中国などのアジアでは扁平上皮がんが9割以上を占めるが、欧米では腺がんが5割から7割を占め、扁平上皮がんは3割から5割程度とされる。

 日本の食道がんの治療は、「食道癌診療ガイドライン2017年版」に示されているように、大きく4つに分けて開発が進められている。(1)Stgae IA(cT1bN0M0)、(2)Stage IB/II/III(nonT4)、(3)Stage III(T4)/IV(頚部リンパ節転移のみ)、(4)Stage IVまたは再発である。

 (1)のStageIAは、リンパ節転移と遠隔転移を認めない(N0M0)早期のがんで、がんが粘膜内にとどまる場合(T1a)は主に内視鏡的切除、粘膜よりも外側の粘膜下層にある場合(T1b)は手術単独や化学放射線療法が選択される。5年生存(OS)率は約80%とされる。

 (2)のStage IB/II/IIIは、進行しているが切除可能ながんで、患者全体の約6割が該当し、最も患者数が多いとされる。標準治療は術前化学療法と手術であるが、術前に化学放射線療法が行われたり、手術はせずに根治的化学放射線療法が選択されたりすることもある。5年OS率は約50%とされる。

 (3)のStage IIIは、がんがどのくらいの深さに達しているかを示す壁深達度がT4と最も深く、がんが局所にとどまっているものの、切除不能な場合で、Stage IV(頚部リンパ節転移のみ)とともに化学放射線治療が行われるが、5年OS率は約20%と不良である。

 (4)のStage IVまたは再発には、全身化学療法が行われる。1次治療は5-FUとシスプラチンの併用療法(CF療法)、2次治療はタキサン系薬剤が使用されるが、5年OS率は約5%ときわめて低いとされる。

この記事を友達に伝える印刷用ページ