「パブリックコメント」に参加してみよう!
第3期計画案の発表とともに、「パブリックコメント」も募集が始まった。パブリックコメントは「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)」の「意見・要望を提出する」から、全省庁の意見募集中の案件をキーワード検索で調べることができる。
基本計画のパブリックコメントは、これまでも実施されてきた。だが、透明性を確保するために実施されているにもかかわらず、その実態は「あまりよくわからない」という声をよく聞く。そこで、前回第2期計画案に対しては、どのような意見が寄せられたか調べた。このときは30日間の募集の結果、2141件の意見が集まった。具体的な内容は、パブリックコメントの結果公示案件の中に募集から1カ月半後に公表され、現在も読むことができる。
50件以上同様の趣旨の意見が寄せられたのは、「希少がん(膵臓がん・NET・GIST等)の対策を進めてほしい(研究や治験の推進、ガイドラインの作成、患者の集約化等)」「ドラッグラグ・デバイスラグをなくしてほしい(特に、適応外薬に関する取組みの強化、アクセス制度の導入等)」「質の高い緩和ケアを推進してほしい(除痛率の導入、研修の義務化、病院の医療用麻薬使用量の公表、心のケアの充実、研修の充実等)」の3件だった。厚労省健康局がん・疾病対策課によると、「これらは課内で手分けして、すべての投稿に目を通します。意見の内容ごとに整理されたあとは、課長も局長も読んでいます」と言う。
では、実際にはどのような意見が反映されるのか。「すべてのご意見は内容を勘案して採否を決めています。一方、基本計画の骨子にかかわることや、がん対策推進協議会で有識者がすでに議論したテーマや内容については原案通りになることが多いです。また、医学的に間違った内容は反映されません」と厚労省健康局がん・疾病対策課は言う。さらに、強調したい意見について、同一組織の同一人物が何度も意見提出することがあるが、「同一意見はまとめて検討されます。数の多さが反映されるわけではありません」と話す(同)。
パブリックコメントについて、全国がん患者団体連合会(全がん連)理事長の天野慎介さんは「必要ながん対策が計画案に反映されていない場合、患者やサバイバー、はやはり、意見を出していかなければなりません」と参加の必要性を話す。だが、行政の手続き上の意見募集にはなるのでは、という懸念もある。
パブリックコメントの書き方については、ビジネスマナーと同じように長々と意見を書かず、問題点とその背景を簡潔に指摘することが大切になる。本サイト「がんナビ」では、これまでにパブリックコメントを書いた経験のある人にアンケート調査をした結果、以下のようなアドバイスを寄せてもらった。「問題意識を持っていても、意見を出す人は少ない。パブリックコメントを書くことが『当たり前だよ』となってほしいと思う」(40代女性)という意見もあった。敷居が高いと躊躇しがちだが、一度パブリックコメントを書いてみてはどうだろう。