このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

Report レポート

レポート一覧へ

新着一覧へ

レポート

2017/8/18

国立がん研究センター・希少がんセミナーより

未だ保険診療で使える治療薬がない胸腺がんの現状

福島安紀=医療ライター

国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の後藤悌氏(撮影:木口マリ)

希少がんホットラインや患者会などを活用し正しい情報の入手を
 がん対策基本法が2007年6月に施行されてから10年。06年5月に参議院本会議で、がんに罹患していることを公表し、同法の早期成立を訴えた故・山本孝史議員は胸腺がんだった。「がん対策はこの10年で進みました。しかし、山本さんが胸腺がんの適応症を持つ薬がない、薬が欲しいと訴えた10年前から胸腺がんの治療は変わっていない厳しい現実があります」。講演後に行われたQ&Aトークセッションで、司会の「オンコロ」コンテンツマネジャーの柳澤昭浩氏は、そう指摘した。

 会場の参加者からは、「免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブは胸腺がんに効果がないのか」という質問が寄せられた。後藤氏は、「米国で行われた免疫チェックポイント阻害薬の治験では、免疫関連の副作用が強く出たと聞いています。胸腺がんに対しては、免疫チェックポイント阻害薬による治療が難しそうです」と回答。

 次世代シークエンサーで多くの遺伝子異常の有無を一度に調べて、患者さん一人ひとりに合った治療を提供する「プレシジョン・メディシン(高精度医療)」に関しては、次のように答えた。「胸腺腫・胸腺がんの治療でもプレシジョン・メディシンを目指したいですが、いまのところ、胸腺腫・胸腺がんに関しては、ピンポイントでこれだという治療につながるような強力な遺伝子変異が見つかっていません。胸腺腫・胸腺がんは、国立がんセンター東病院を中心に勧められているプレシジョン・メディシンのプロジェクト『スクラム・ジャパン(SCRUM-Japan)』の対象にはなっていないのが現状です。国立がん研究センター中央病院ではこのような希少がんを対象としたプロジェクトの一環として遺伝子解析を実施し、プレシジョン・メディシンを目指す研究を開始しています」。

 遺伝に関する質問も出たが、胸腺腫・胸腺がんに関しては遺伝の影響はないという。

 インターネット上にはたくさんの情報があふれているが、胸腺腫・胸腺がんに関する情報は限られる。同センター希少がんセンターで希少がんホットラインを担当する看護師の加藤陽子氏は、会場に集まった患者・家族にこう呼びかけた。「胸腺腫・胸腺がんの患者さんからは、『主治医に初めて胸腺腫・胸腺がんをみたと言われました。先生の説明が分からなくて困っている』という問い合わせが多いです。この希少がんセミナーの動画希少がんセンターのホームページ希少がんホットラインを活用し、正しい情報を集めてください。希少がんホットラインでは、必要に応じて、患者さんたちが専門病院にたどりつけるように情報提供しています」。

 同セミナーには、「胸腺腫・胸腺がん患者会ふたつば」代表の近藤セツ子氏も秋田県から参加した。同患者会は2015年10月に発足。全国に会員が90人おり、不定期で情報交換会や学習会、お茶会を開催したり、通信の発行、ホームページやフェイスブック、ブログを通じて情報交換を行ったりしている。

 最後に近藤氏が、「希少な疾患なので、患者会に参加して初めて同病の人と話をしたという人がほとんどです。まだ会として未熟ですが、みんなが困らないようにやっていけたらと考えています。私自身、胸腺腫と診断されてから10年目に突入しました。私もかつて本当に孤独でした。いまも治療中ですが、病気と共に長生きしたいと思っています」と話し、同セミナーは閉会した。

この記事を友達に伝える印刷用ページ