課題は介護認定や審査期間が現状に見合わない
だが、一方で、がん患者は高齢者とは異なり体を動かせることが多いため、介護認定のレベルを低く判定されることもある。
前述のHOPEプロジェクトの遺族調査では「要支援(10%)、要介護1(23%)」が約3割も見られた。要支援や要介護1の場合は車椅子や電動リクライニングベッドは利用できない。「要介護3」からとなっている。
桜井さんは「今、国の方針で病院療養から在宅療養へシフトしているが、自宅での暮らしに必要な用具すら整えられない現状が分かりました」と落胆する。
また、介護度認定調査から判定までの期間も、終末期のがん患者の現状と見合わない。例えば、前述の遺族調査では申請から認定までの期間が約15日だった人は23%。さらに、1カ月以内が88%、45日間以上が8%だった。前述の小笠原医師が看取った患者が介護保険を利用した期間が平均2週間、おおよそ1カ月弱だったことを勘案すると、必要な時期にサービスを利用することができない可能性が高い。
今回のHOPEプロジェクトの調査結果は、65歳以下のがん罹患を含めた特定疾患患者が介護保険サービスをよりうまく利用できる、いいきっかけとなるだろう。
居宅介護支援事業所さくら(群馬県・高崎市)では、がんの緩和ケアのケアプラン作成を得意とする。2010年~5年間で281人を在宅で看取った。