患者目線で情報を発信する「大阪がんええナビ」
また注目すべきは、がん登録のデータを利用し、胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がんについて、国指定のがん診療連携拠点病院14カ所と府指定のがん診療拠点病院43カ所の治療数と5年生存率を公開していること。拠点病院の5年生存率の公開は、「がん登録で得られたデータは、できるだけ府民に還元したい」(津熊氏)と、2004年からスタートしている。
この5年生存率のデータは、がんの患者・家族・遺族の有志やがん登録担当者らが開設したサイト「大阪がんええナビ」(http://www.osaka-anavi.jp/)からもアクセスできる。同サイトのトップページにある「がんを考えよう」の「データ」をクリックし、「がん登録」の中にある「大阪府/我が国に多いがんの診療実績手術数・生存率・届出数等の状況」にアクセスすると、大阪府立成人病センターがん予防情報センターのホームページに入り、「施設別治療数と5年相対生存率」などが閲覧できるようになっている。
「大阪府には、がん登録のデータや拠点病院の現況報告など、患者や家族が活用したい情報がたくさんあるのに、一般の人にはなかなかアクセスしにくい面がありました。ここにアクセスすれば、自分がほしいがん情報が得られるサイトを作りたいと思ったのです」。大阪がんええナビ制作委員会代表の濱本満紀氏(NPO法人がんと共に生きる会事務局長)は、2011年3月に、このサイトを開設した理由をそう話す。
また、「母が進行した乳がんで治療法がないと言われたときに、情報を集めるのに非常に手間がかかりました。信頼できる大阪のがん情報にアクセスできるサイトが欲しいと思いました」と言うのは、同委員会事務局の川相一郎氏だ。