また、早期がん(病巣が胃に限局)として発見される割合は、90年代初めまでは増え続けているが、その後はほぼ横ばいで、早期発見の成果はそれほど出ていない。
図2 胃がんの進行度分布の推移(大阪府立成人病センターがん予防情報センターより)
「この結果を見ると、死亡率が下がったのは胃がんになるリスク自体が減ったことが大きいと言えます。ところが、がん登録の整備が進んでいる宮城県、山形県、福井県のデータを見ると、臨床進行度『限局』の早期がんの割合が大阪府より高く、今なお増加が続いていて、罹患率と死亡率のかい離も大きい。大阪府は、これまでの検診システムを見直し、その結果早期がん(『限局』)の割合も上がれば、もっと死亡率が下がる可能性があるわけです」と津熊氏は言う。
さらに、がん種別の罹患数・率や早期がん(『限局』)の割合は、市町村によっても異なる。がん登録のデータを活用して得た市町村のがん指標を「胃がん、大腸がん、肺がん、肝がんは大阪府内で下位レベル」「胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんの早期診断割合は中位レベル」などと、府内のほかの市町村と比較。検診の必要性をより身近に感じるツールとして利用しているのも大阪ならではの取り組みだ。