日本では、厚生労働省による調査研究「新たながん検診手法の有効性評価」の報告書内で、40歳代の視触診とマンモグラフィの併用による乳がん検診には死亡率減少効果があるとしている。なお、利益・不利益としては表2のような内容が挙げられているが、日本の場合は、40代での検診は利益が不利益を上回ると結論され、マンモグラフィによる検診を導入した。
表2●乳がん検診の利益・不利益
日本とUSPSTFでの結論の違いには、罹患率の違いが関係する。欧米は、40歳あたりから徐々に増え始め、高齢になればなるほど罹患率が上がっていく。一方日本は、40代と50~60代の2回に罹患率のピークがある二峰性の分布となっている(図1)。
そのため、「欧米では何歳から検診を始めるのが合理的か、という視点で議論されますが、日本の場合はピークを含む年代である40代を省くのは不合理です。日本人においては、40歳以上で受診した方がいいのか、もう5歳くらい前からがいいのか、というのが今焦点となっている部分です」(遠藤氏)。
図1●日本における年齢別乳がん罹患率 (地域がん登録全国推計によるがん罹患データ[2006年]、国立がん研究センターがん対策情報センター より作成)