ストーマを保有するオストメイトの約6割が、退院後、ストーマに常時装着して排便を管理する専用のふくろ状の装具(パウチ)に不満を持つなどして、装具を変更している――。ブーケ<若い女性オストメイトの会>会員を対象としたアンケート調査で、こうした現状が明らかになった。退院後も、定期的な装具の管理が必要であることが、改めて浮き彫りにされたと言える。
このアンケートは、2007年10月にブーケ<若い女性オストメイトの会>会員全員に郵送式で実施したもの。アンケート内容は装具に関するものに加え、会自体の活動内容についてなどさまざまで、回答を得た132人(回収率62.7%)のうち、消化管ストーマを保有するオストメイト124人に絞って、さらに回答を詳しく検討した。
回答者全体の平均年齢は47.5歳。オストメイトになったきっかけは、直腸がんが最も多く47.0%と半数近くを占め、次いで潰瘍性大腸炎15.2%、クローン病12.1%だった。
退院後の装具変更について回答の得られた105人では、退院後に装具を「変更したことがある」との回答が61%に上った(図1)。この調査に協力したコンバテック ジャパンの赤井澤淳子氏は「6割という数字をどうとらえるか、類似の調査結果がないので何とも言えない。ただし、意識の高い方を対象にした調査なので、いわゆる平均的な数値より高いとは思う」と話す。
装具変更の時期については「3カ月以内」が4割近くに上るなど、1年以内に変更したという回答が7割近くを占めた(図2)。自らも皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師である赤井澤氏は、「手術後2~3カ月たつと、手術に伴う体重減少が元に戻ってきたり、腸のむくみがとれてストーマが縮んだりすることが多い。また、日々のストーマ管理に慣れてきて、よりよい装具を探す意識が生まれることも大きいだろう」と推測する。
これを裏付けるように、装具変更の理由は「装具への不満」が52%と最も多かったものの、そのほぼ半数の25%が「より魅力的な装具あり」と回答していた。装具への不満は「皮膚がかゆくなった」が57.1%、「頻繁に漏れた」が42.9%、「はがれやすくなった」が26.2%など。より魅力的な装具については「排泄処理がしやすい」が28.6%、「肌触りがよい」「長持ちする」がともに23.8%だった。
装具を変更した64人の、現在使用している装具への満足感は「満足」「まあ満足」を合わせて84%と高く、変更によって概ね満足感が得られていた。「最初に装具を選んだ後も、ストーマの状態が変化していくことを頭に入れておいてもらいたい。こまめに、今の自分のストーマに合わせた装具を使用することが大切」と赤井澤氏。
医療者に相談するとの回答は約1割
装具に関する相談先を尋ねたところ、ストーマケア専門の看護師であるET/WOCナースとの回答が最も多く32%、次いで装具販売店21%、メーカー14%となり、医師・看護師との回答は12%だった。また、相談しないとの答えも9%あった。赤井澤氏は「ストーマ・トラブルに対し、自己流で対処してしまうことは、状態の悪化を招く恐れもあり、あまり勧められない」と心配する。
しかし、ストーマ外来の受診頻度はまだ低い(図3)。1年間に1回以上の頻度でストーマ外来を受診しているオストメイトは23%で、「今は行かない」が28%、「不定期」が23%、「行った事がない」が14%などとなった。
赤井澤氏は「ET/WOCナースは都市部に多く、ストーマ外来を受診したくても受診できないオストメイトもいるだろう。だが、ストーマ周囲の皮膚の赤みやかゆみなど、かぶれになる前の段階でストーマ外来を受診してもらえば、早めのケアが可能になる。退院後、最初の1年間は月1回、それ以降は数カ月に1回の頻度で、日常のストーマケアの一環として、より気軽に、できるだけ定期的なストーマ外来の受診を心がけてほしい」と呼びかける。(小又 理恵子)
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