内視鏡検査について、「苦しい」「怖い」といったマイナスイメージを抱いている人が約6割いるのに対し、「病気が早期発見できる」「検査だけでなく治療もできる」といったプラスイメージを持っている人は約4割であることがオリンパスの大規模なインターネット調査で明らかになった。一方、がんになるリスクが高まる40代以上で、上部消化管内視鏡検査を受けたことがある人は過半数に上り、下部消化管内視鏡検査を受けたことがある人も約3割と、内視鏡検査はがんを早期に発見し、早期に治療するのに欠かせないツールとして、着実に広がってきている。
まず、内視鏡検査についての印象は、全年齢層を通して最も多かったのが「苦しい」だったが、マイナスイメージの中でも「怖い」「検査費用が高い」などは、年齢が上がるとともに減少していた。一方、「喉の麻酔がつらい」「前処置が大変」などは、あまり世代間の差がみられなかった(図1)。
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(提供:オリンパス/図1~5) |
一方、「検査結果が信頼できる」「検査だけでなく治療もできる」といったプラスイメージも、年齢が上がるとともに増加する傾向にあった。20~30代では内視鏡検査に対するマイナスイメージが7割に上るが、がんになるリスクが高まる40代以上では、プラスイメージが44%まで増えている。調査の回答者が、比較的内視鏡検査に関心の高い人であろう点を考慮しても、がんのリスクの高い世代を中心に、内視鏡検査の有用性は徐々に浸透してきていると言えそうだ。
次に、内視鏡検査を受けたことがあるかどうか、上部と下部に分けて聞いたところ、上部消化管内視鏡検査については、30代までの受診経験者は3割、40代では4割、50代では6割、60代では7割、70代では8割と、年齢とともに増加していた(図2)。胃がん検診が広く浸透しているためか、受診経験者は比較的多い。
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一方の下部消化管内視鏡検査については、30代までの受診経験者は1割強と、上部消化管内視鏡検査の約半分にとどまる。だがこちらも、40代には2割、50代には3割をそれぞれ超え、60代以上では半数を超える(図3)。こうした受診経験の有無も、内視鏡検査に対する印象を左右する要因の一つになっているのではないかと考えられる。
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大腸がんの早期発見に関して、便潜血検査による検診を受けたことがあるかどうか尋ねたところ、こちらも30代までは約2割だが、40代以上では約6割へと増加する(図4)。大腸がんの一次検診法として推奨されており、内視鏡検査に比べて負担の少ない便潜血検査には、抵抗感が少ないようだ。
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だが、大腸がんの早期発見についての関心は高まっているとはいえ、下部消化管内視鏡検査を受けたことのない人のうち、75%が今後も検査を受ける予定はないと答えている(図5)。その理由としては「自覚症状がない」「苦しそうで抵抗感がある」などが上がっている。内視鏡検査を定期的に受ける人と全く受けない人の二極化が進んでいる印象も受ける。
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この結果に対し、田坂記念クリニック院長の佐竹儀治氏は、「自覚症状がないことを理由に内視鏡検査を受けない人がまだ多いことは残念だ。簡便な内視鏡治療で治せる可能性のある早期がんではほとんど自覚症状はない。苦痛を不安に思っている人が多いようだが、内視鏡の進歩と医師の検査技術の向上により、検査時の苦痛はかなり軽減されてきている。自覚症状の有無にかかわらず、一度検査を受けてみてほしい」と講評を寄せている。