「患者の立場に立った医療を」とはよく耳にする言葉だが、はたしてどれだけの人が患者の視点を忘れずに日々の診療に臨んでいるのだろうか。目の前で語られた「がん患者になった医師からのメッセージ」の数々は、医師、それもがん専門医であるからこそ発信できる「がん患者からのメッセージ」でもあった。6月1日、シカゴで始まった第43回米国臨床腫瘍学会の教育セッション「患者としてのがん専門医」では、9人の医師がビデオ出演し、3人の医師が口演を行った。
セッションの冒頭、座長を務めるSloan-Kettering記念がんセンター(ニューヨーク)のTheresa Gilewski氏は、「今後のがん治療の新たな展望を切り開くためにも、患者になった医師から得られるものはとても貴重だ」などと指摘。引き続き、13時間にも及ぶインタビューを35分に集約したビデオを紹介した。そこには、がんに罹患した臨床医9人が登場(写真1、2、3)。がんの診断が下ったときや治療に臨んだときの想い、死の意識、患者の経験から学んだことなどが赤裸々に語られていった。
がんの告知に際しては、「なぜ自分ががんに」とだれにもぶつけようがない怒りの気持ちを抱いたことを告白する医師もいれば、しばらくは何も手がつかない様子だったことを明かす医師もあった。が、総じて冷静に受け止めていたという印象だ。それは治療への速やかな移行に現れている。もちろん、治療内容を理解しているがん専門医であるからこそできたともいえるが、改めて治療の説明と患者の納得の大切さが浮き彫りになった。
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