PD-1/PD-L1阻害薬の投与歴のない進行胃癌に対して、抗TIGIT抗体であるvibostolimabと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法が有望な可能性が明らかとなった。固形癌を対象に行われているフェーズ1試験のKEYVIBE-001試験の胃癌患者を対象にしたコホートで示された。安全性プロファイルは、他の癌種のコホートで認められたものと同様で、PD-L1陽性の患者で良好な抗腫瘍効果が確認された。
6月29日から7月2日にスペインバルセロナで開催されているESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2022(WCGIC 2022)で、国立がん研究センター中央病院の庄司広和氏が発表した。
KEYVIBE-001試験の胃癌患者を対象にしたコホートは、vibostolimabの用量漸増と推奨用量を決定するパートAと拡大部分であるパートBから構成されていた。パートAはvibostolimab 200mgとペムブロリズマブ200mgを3週おきに投与する群と、vibostolimab 700mgとペムブロリズマブ200mgを3週おきに投与する群で構成されていた。パートBは、vibostolimab 200mgとペムブロリズマブ200mgが3週おきに投与された。適格基準は、PD-1/PD-L1阻害薬の投与歴のない測定可能病変を有する胃・食道胃接合部腺癌で、1ライン以上の化学療法かHER2標的療法(HER2陽性の場合)を受けていることだった。
試験の主要評価項目は、安全性と忍容性。副次評価項目は研究グループの評価によるRECISTv1.1に基づく奏効率、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)だった。
データベースカットオフは2022年1月6日。観察期間中央値は12カ月(5-19)だった。パートAにおいて、用量制限毒性は認められなかった。vibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けたのが24人、vibostolimab 700mgとペムブロリズマブの投与を受けたのが3人だった。アジアから10人が登録された。
試験の結果、vibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた24人で治療関連副作用が発現したのは13人(54%)で、グレード3だったのは4人(17%)、重篤な副作用だったのは1人(4%)だった。グレード4の副作用はなかった。投薬中断や副作用による死亡は認められなかった。多く認められた副作用は、皮疹(17%)、貧血(8%)、甲状腺機能亢進症(8%)、輸注関連反応(8%)だった。vibostolimab 700mgとペムブロリズマブの投与を受けた3人で治療関連副作用が発現したのは1人(33%)だけだった。グレード3以上の副作用はなく皮疹と口内炎が認められた。
vibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた24人のうち、3人で部分奏効(PR)が認められ、確定奏効率は13%、DOR中央値は10カ月(6+-11)、PFS中央値は2カ月(95%信頼区間:2-4)だった。vibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた3人で奏効が認められた患者はいなかった。PFS中央値は2カ月(95%信頼区間:2-NR)だった。
PD-L1陽性患者11人のうち3人でPRが認められたが、PRが得られたのは全員vibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた患者だった。また、PRとなった全員がPD-L1陽性だった。PD-L1陽性でvibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた10人中3人で奏効が認められ、奏効率は30%。PD-L1 CPSが1以上でvibostolimab 200mgとペムブロリズマブの投与を受けた9人中3人で奏効が認められ、奏効率は33%だった。
現在、複数の癌種で行われているフェーズ2試験であるKEYVIBE-001試験で、胃癌の1次治療としてvibostolimabとペムブロリズマブ、化学療法の併用が評価されている。