英AstraZeneca社と米Merck社は6月27日、生殖細胞系列にBRCA1/2変異を有するHER2陰性の再発リスクが高い早期乳癌で、術前または術後化学療法を受けた患者の術後補助療法として、PARP阻害薬オラパリブの単剤投与もしくはホルモン療法との併用投与について欧州医薬品庁の医薬品委員会が承認を推奨する勧告を行ったと発表した。欧州における適応拡大が近づいた。
オラパリブの術後補助療法としての有効性は、フェーズ3試験であるOlympiA試験で示されている。OlympiA試験は、生殖細胞系列にBRCA1/2変異を有するHER2陰性の再発リスクが高い早期乳癌で、術前または術後化学療法を行い、さらに局所療法が完了した患者を、オラパリブを投与する群(オラパリブ群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に割り付けて行われている二重盲検並行群間プラセボ対照多施設試験。
OlympiA試験の結果、オラパリブ群がプラセボ群に比べて浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)と無遠隔転移生存(DDFS)を有意に延長することが既に報告されていた。IDFSの層別ハザード比は0.58、p<0.0001、DDFSのハザード比は0.57、p<0.0001だった。
OlympiA試験の結果に基づいて、オラパリブは生殖細胞系列にBRCA変異を有し、HER2陰性の早期乳癌で術前または術後に化学療法を受けた患者の術後補助療法としての承認を3月に米国で取得している。日本でも承認申請中である。