閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の進行乳癌の1次治療として、CDK4/6阻害薬ribociclib+フルベストラントは、プラセボ+フルベストラントに比べて全生存期間(OS)を延長し、OS中央値は67.6カ月であったことが、フェーズ3試験のMONALEESA-3試験のアップデート結果で明らかになった。
ベルギーUniversity Hospitals Leuven - Campus GasthuisbergのPatrick Neven氏らが、5月3日から5日までドイツベルリンとハイブリッドで開催されているESMO Breast Cancer(ESMO Breast 2022)で発表した。
MONALEESA-3試験(NCT02422615)では、プロトコールに規定されたOSの最終解析(観察期間中央値39.4カ月)、および観察期間延長における探索的OS解析(観察期間中央値56.3カ月)において、1次治療または2次治療としてribociclib+フルベストラント(FUL)群はプラセボ+FUL群に比べて有意なOS延長を示した。
探索的OS解析で、ITT集団におけるOS中央値は、ribociclib+FUL群53.7カ月、プラセボ+FUL群41.5カ月だった(関連記事)。しかし1次治療の患者においてribociclib+FUL群のOSは中央値に達していなかった。そのため研究者らはさらなるOS解析を希望。1次治療における長期OSベネフィットを明らかにするため、探索的解析が行われた。
試験は、HR陽性HER2陰性進行乳癌の閉経後女性および男性患者を、ribociclib+FUL群またはプラセボ+FUL群に2対1で無作為に割り付けた。1次治療の患者には、内分泌療法による治療歴がない患者に加え、術前・術後補助療法の最終投与後12カ月以上経っている患者も含まれた。
データカットオフ時点(2022年1月12日)で、1次治療を受けた患者での観察期間中央値は70.8カ月(最短67.3カ月)。ribociclib+FUL群では16.5%、プラセボ+FUL群では8.6%の患者が治療継続中だった。
解析の結果、1次治療において、ribociclib+FUL群でOSは延長し、OS中央値は67.6カ月、プラセボ+FUL群は51.8カ月で、15.8カ月の改善を認めた。ハザード比は0.67(95%信頼区間:0.50-0.90)で、死亡リスクは33%低下した。5年OS率は56.5%と42.1%であった。
後治療は、ribociclib+FUL群で81.8%、プラセボ+FUL群は89.7%の患者に行われ、試験治療後のいずれかのラインでCDK4/6阻害薬の投与を受けた患者は16.7%と35.0%だった。パルボシクリブの投与が8.6%と27.4%、ribociclibが6.6%と6.0%、アベマシクリブが3.0%と2.6%だった。
無作為化から2回目の増悪または死亡までの期間(PFS2)のハザード比は0.64(95%信頼区間:0.49-0.84)だった。無作為化から初回化学療法の開始または死亡までの期間(CFS)のハザード比は0.62(95%信頼区間:0.48-0.81)で、ribociclib+FUL群が上回っていた。
以上の結果から、MONALEESA-3試験における1次治療での探索的解析で、進行乳癌の1次治療のフェーズ3試験では最長のOS中央値(67.6カ月)が得られたとした。また安全性について、有害事象の頻度は全体に既報と変わらなかった。