治療歴が多いミスマッチ修復機構欠損のない(pMMR)またはマイクロサテライト安定性(MSS)の大腸癌(CRC)患者において、カボザンチニブと抗PD-L1抗体デュルバルマブの併用療法は、有望な効果と良好な忍容性を示し、特にRAS野生型で有効性が示されたことが、CAMILLA試験におけるフェーズ2部分のCRC コホートで明らかになった。
米国Kansas University Cancer CenterのAnwaar Saeed氏らが、1月20日から22日に米サンフランシスコとハイブリッド形式で開催されたGastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2022)で発表した。
CAMILLA試験(NCT03539822)は、消化器癌を対象にカボザンチニブとデュルバルマブ±抗CTLA-4抗体tremelimumabを検証するバスケット型のフェーズ1/2試験。フェーズ1b試験(30人)で、カボザンチニブとデュルバルマブの併用は良好な安全性と有効性を示した。そこで複数のコホートからなる多施設共同フェーズ2試験(117人)が実施された。
今回はCRCコホートにおけるカボザンチニブとデュルバルマブ併用の結果が発表された。
治療は、フェーズ2試験の推奨用量である、カボザンチニブ40mgの1日1回投与とデュルバルマブ1500mgの4週おき投与が行われた。pMMRまたはMSSのCRCで、2ライン以上の治療で進行している患者を対象とした。画像評価は8週おきに行われ、mRECISTv1.1に基づく判定で増悪の後も治療は可能だった。
36人が登録し、1サイクル以上の治療を受けた29人で有効性が評価された。29人の患者背景は、女性が55%、年齢中央値は57歳(範囲27-76歳)。原発巣占居部位が左側の患者が86%、RAS野生型が41%、HER2増幅のある患者が6.9%だった。全員に3カ所以上の転移があり、肝転移があった患者は79%だった。3ライン以上の治療を受けていた患者が52%だった。
安全性は36人で評価された。主な有害事象はグレード1/2の疲労(53%)、吐き気(42%)、下痢(36%)、食欲不振(31%)、手足症候群(25%)だった。治療関連のグレード3以上の有害事象は31%(11人)に認め、グレード3以上の免疫関連有害事象は16.6%(6人)に見られた。
29人において、奏効率(ORR)は27.6%(95%信頼区間:12.73-47.24)で、確定した部分奏効(PR)と不確定PRであった。確定したPRは20.7%(95%信頼区間:7.99-39.72)。病勢制御率(DCR)は86.2%(95%信頼区間:68.34-96.11)だった。
無増悪生存期間(PFS)中央値は3.8カ月(95%信頼区間:3.4-6.3)、6カ月PFS率は34.5%(95%信頼区間:17.94-54.33)だった。全生存期間(OS)中央値は 9.1カ月(95%信頼区間:5.8-21.8)であった。
RAS野生型サブグループ(12人)において、ORRは50.0%(95%信頼区間:21.09-78.91)、DCRは83.3%(95%信頼区間:51.59-97.91)であった。PFS中央値は6.3カ月(95%信頼区間:1.8-評価できず)、OS中央値は21.8カ月(95%信頼区間:4.5-評価できず)。このためRAS野生型ではORR、PFS、OSの改善が示されているとした。
以上の結果から、カボザンチニブ+デュルバルマブは、治療歴の多いpMMR/MSSのCRC患者において、有望な効果と良好な忍容性を示し、新たな安全性の問題もなかったと述べた。