治癒切除を行った胆道癌の術後補助療法としてのS-1投与は、手術のみに比べて有意に全生存期間(OS)を延長できることが明らかとなった。日本の38施設で行われたオープンラベル無作為化多施設フェーズ3試験であるJCOG1202試験(ASCOT試験)の結果示された。S-1が治癒切除胆道癌の術後補助療法の標準となった。
1月20日から22日に米サンフランシスコとハイブリッド形式で開催されているGastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2022)で、国立がん研究センター東病院の池田公史氏が発表した。
JCOG1202試験は、組織学的に確認されたT2-4N0M0またはT1-4N1M0の肝外胆管癌、胆嚢癌、ファーター膨大部癌、T1-4N0-1M0の肝内胆管癌で、治癒的切除を受けた20歳から80歳のECOG PS 0-1の患者を対象に行われた。患者は手術のみ群とS-1投与群に割り付けられた。S-1投与群の患者には、 40mg/m2を1日2回4週間投与し2週間投与することを1サイクルとして4サイクル投与が行われた。主要評価項目はOS。副次評価項目は、無再発生存期間(RFS)、副作用、治療完遂率だった。
2013年9月から2018年6月までに444人(手術のみ群222人、S-1投与群218人)が登録された。両群の患者背景には概して差がなかった。
データカットオフは2021年6月23日で、観察期間中央値は45.4カ月だった。試験の結果、OSのハザード比が0.694(95%信頼区間:0.514-0.935)、片側p=0.008で有意にS-1投与群で良好だった、3年OS率は手術のみ群が67.6%(95%信頼区間:61.0-73.3)、S-1投与群が77.1%(95%信頼区間:70.9-82.1)だった。カプランマイヤー曲線は、2年の前から離れ始めていた。OSのサブグループ解析は、概してS-1投与群が優位だった。
RFSは、ハザード比0.797(95%信頼区間:0.613-1.035)でS-1投与群が良かったが、データカットオフ時点においては有意な差ではなかった。3年RFS率は、手術のみ群が50.9%(95%信頼区間:44.1-57.2)、S-1投与群が62.4%(95%信頼区間:55.6-68.4)だった。カプランマイヤー曲線は、早期から離れていた。
S-1投与群で安全性に関する新たな問題は認められなかった。