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2021/12/24

抗CCR4抗体モガムリズマブの低用量投与による免疫療法が固形癌に有効な可能性

横山勇生=編集委員

 国立がん研究センターなどは12月24日、同センター研究所と大阪大学、名古屋大学、愛知医科大学などの研究チームが、抗CCR4モノクローナル抗体モガムリズマブについて、固形癌患者に投与量を減らして併用療法で投与することで固形癌に有効性が期待できることを見出したと発表した。低用量で投与することで、免疫抑制に関わっている制御性T細胞を減らし、腫瘍縮小を行うセントラルメモリーCD8陽性T細胞を残すことができる免疫療法の可能性を見つけた。

 今回の成果は、CCR4を標的とした制御性T細胞の除去効果を検討するために進行・再発固形癌を対象に実施されたモガムリズマブのフェーズ1a/b試験(NCT01929486)に参加した患者の、免疫細胞の状態を解析した結果明らかとなった。詳細は、12月14日にNature Communications誌に発表された。研究グループは、がん免疫療法としてのモガムリズマブの至適投与量を慎重に検討することの重要性が分かったとし、臨床応用に向け固形癌に対する大規模臨床試験の実施を目指すとしている。

 進行・再発固形癌を対象に実施されたモガムリズマブのフェーズ1a/b試験において、モガムリズマブの投与によって末梢血中の制御性T細胞が減少していることが認められたものの、抗腫瘍効果は限定的だった。また、モガムリズマブの投与で長期生存が得られた患者で、セントラルメモリーCD8陽性T細胞が多く存在していることが明らかとなった。

 この結果を受けて、制御性T細胞の除去効果と治療効果が一致しなかった原因や、セントラルメモリーCD8陽性T細胞の関連を調べる目的で、フェーズ1b試験に参加した進行固形癌患者39人の末梢血検体を用いて抗体投与前後での免疫細胞の状態を解析したところ、末梢血中の制御性T細胞は効率的に除去されているが、CD8陽性T細胞の一部も同時に除去されていることが分かった。より詳細に調べた結果、CCR4を高発現している活性化型制御性T細胞が除去される一方で、CD8陽性T細胞の除去は、セントラルメモリーCD8陽性T細胞の減少によるものであることが判明した。

 セントラルメモリーCD8陽性T細胞は、免疫療法による腫瘍縮小に重要な働きをする細胞で、モガムリズマブの投与でセントラルメモリーCD8陽性T細胞が予期せずに除去されてしまったことで、治療効果が認められなかった可能性が示唆された。さらに、制御性T細胞と同様に、セントラルメモリーCD8陽性T細胞においても低いレベルではあるがCCR4を発現していることが認められた。

 研究グループは、モガムリズマブの最適な投与量を調べるために、過去の臨床試験で用いられた健康人の末梢血の薬物動態データに基づいて、血中のモガムリズマブ濃度とT細胞の関係をマウスを用いたin vivoの実験で解析した。その結果、モガムリズマブをT細胞リンパ腫で承認されている用量である10μg/mL加えた場合、制御性T細胞とセントラルメモリーCD8陽性T細胞の両者が除去されるが、1μg/mL未満にすると、セントラルメモリーCD8陽性T細胞よりも制御性T細胞が選択的に除去されることを認めた。

 また、長期生存が得られた患者において、ナチュラルキラー細胞が疲弊状態となっていた。このため、モガムリズマブの抗体依存性細胞傷害活性が低下した結果、CCR4を高発現している制御性T細胞がセントラルメモリーCD8陽性T細胞よりも選択的にモガムリズマブで除去され、セントラルメモリーCD8陽性T細胞が残った状態になり長期生存につながった可能性が示された。

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