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2021/12/17

新規経口TKI vodobatinibはポナチニブを含む3剤以上のTKI治療歴を有するCMLとPh+ALLで持続的効果を示す【ASH 2021】

中西美荷=医学ライター

 新規チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)vodobatinibは、第3世代TKIのポナチニブを含む3剤以上のTKI治療歴を有する慢性骨髄性白血病CML)およびフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)の急性リンパ芽球性白血病ALL)において、良好な長期安全性プロファイルのもとで持続的な効果を示すことがフェーズ1/2試験(NCT02629692)により明らかになった。

 12月11日から14日までハイブリッド形式で開催されている米国血液学会(ASH 2021)で、米国Georgia Cancer Center Augusta UniversityのJorge E. Cortes氏が報告した。

 vodobatinibは他のキナーゼに対する阻害活性を最小限とするようにデザインされた新規BCR-ABL1 TKIで、BCR-ABL1に対する選択性が高く、in vitroでは、T315変異を除く、実臨床で認められるようなさまざまな遺伝子変異を有するBCR-ABL1キナーゼに対する活性を有していた。フェーズ1試験の結果として、フェーズ2試験の推奨用量(RP2D)が174mgであることや、ポナチニブ既治療、未治療にかかわらず、慢性期CML(CML-CL)に対して有効である可能性などがすでに報告されている(関連記事)。

 今回、フェーズ1の用量漸増パートと用量拡大パートに登録されたCMLまたはPh+ALL患者52例におけるvodobatinibの有効性と安全性が報告された。データカットオフの2021年8月の時点において、35例がvodobatinibを1年以上、8例は3年以上にわたり投与されていた。

 フェーズ1の用量漸増パートに登録された41例(漸増コホート)と、用量拡大パートに登録された11例(拡大コホート)では患者背景にやや違いがあり、拡大コホートはやや年齢中央値が低く(60.6歳 vs. 48.2歳)、TKI治療数が少なかった(中央値3 vs. 2)。また、心血管疾患を有する患者が漸増コホートに25例(61%)、拡大コホートに3例(27.2%)含まれていた。

 ベースラインにおける遺伝子変異は多様だったが、最も多かったものはF317Lで、漸増コホートの3例に認められた。また、前臨床試験においてvodobatinibが活性を示さなかったT315I変異を、漸増コホートの2例が有していた(その後のプロトコール変更により、現在はT315I陽性例は除外される)。

 CML-CP患者における細胞遺伝学的効果は、漸増コホート(32例)では分子遺伝学的大奏効(MCyR)率が治療前の34.375%(部分奏効[pCyR]12.5%、完全奏効[CCyR]21.9%)から、治療後には65.625%(pCyR 9.4%、CCyR 56.3%)に、拡大コホート(10例)では10%(pCyR 10%)から70%(pCyR 10%、CCyR 60%)に改善された。

 分子学的効果は、漸増コホートでは分子学的奏効(MMR)率が34.375%(すべて部分奏効)から治療後には50%(部分奏効3.1%、完全奏効46.9%)に改善された。拡大コホートでは治療前MMR率0%だったが、治療後には10%となった。Cortes氏は、拡大コホートは漸増コホートと比較して解析時点までの治療期間が短いが、多くは現在も治療中だと説明した。

 移行期CML(CML-AP)3例は、治療前は3例ともCHRで細胞遺伝学的奏効例はなかったが、1例がCCyRおよびMMRを達成し、2例はPCyRを得た。奏効期間中央値は38.3カ月(範囲9.6-40.3)。CML急性転化期(CML-BP)の4例では2例がCHRを得たが2例は病勢進行した。奏効期間中央値は3.3カ月(範囲0.6-18.2)。またPh+ALLの2例では、1例がCCyRおよびMMRを維持したが、1例は病勢進行した。奏効期間中央値は4.1カ月(範囲0.8-7.3)だった。

 vodobatinibの安全性プロファイルは良好で、特に非血液毒性は軽微だった。治療中に発現した有害事象(TEAEs)として、全グレードで15%以上で認められたものは、血小板減少34.6%、咳嗽21.2%、下痢19.2%、貧血17.3%、悪心15.3%。グレード3以上のTEAEsは多岐に及んだが、ほとんどが1例のみで、複数例で認められた非血液毒性はアミラーゼ上昇とリパーゼ上昇各4例(7.6%)のみだった。血液毒性としては、貧血、好中球がともに6例(11.5%)、血小板減少が8例(15.3%)だった。

 19例で25の重篤なAEsを認め、このうちvodobatinibとの関連性が考えられたものは、CML-BPの1例における致死性の頭蓋内出血と、背痛1例、貧血悪化1例だった。試験中の死亡は、この頭蓋内出血の1例と、疾患進行の2例、突然死1例、COVID-19の疑い1例だった。

 vodobatinibで特に注目すべきAEは心血管イベントで、9例に認めたが、大部分はグレード1で、グレード3はうっ血性心不全1例、高血圧1例だった。またvodobatinibとの関連性が疑われたものは高血圧の1例のみだった。

 PFSの成績は「この前治療数の多い患者集団としては大変良好」(Cortes氏)で、3年PFS率はCMP-CPで80.9%、Ph+CMLで78.8%、CML-AP/CML-BP/Ph+ALLで70.1%だった。また3年OS率はCMP-CPで90.0%、Ph+CMLで86.1%、CML-AP/CML-BP/Ph+ALLで70.1%だった

 現在、ポナチニブを含む3ライン以上の治療に失敗したCML患者を対象とするフェーズ2試験が進行中である。

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