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2021/12/09

HER2陰性転移性乳癌に対する標的治療はESCATのランクが高い場合にのみPFSを改善【SABCS 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 HER2陰性転移性乳癌において、ゲノムプロファイリングの結果に基づいた標的治療は、遺伝子異常をランク付けしたESCAT(ESMO Scale of Actionability of Molecular Targets)で高いランクの場合にのみ、無増悪生存期間(PFS)は良好だったことが、HER2陰性乳癌を対象とした2つのフェーズ2試験(SAFIR02-BREAST、SAFIR-PI3K)のプール解析で明らかになった。

 12月7日から10日までハイブリッド形式で開催されているSan Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS 2021)で、フランスGustave Roussy CancerのFabrice Andre氏らが発表した。

 SAFIR02-BREAST試験(NCT02299999)とSAFIR-PI3K試験(NCT03386162)は、1次または2次治療の対象となるHER2陰性の転移性乳癌で、ホルモン受容体陽性の場合は内分泌療法に抵抗性の患者を対象とした多施設共同無作為化フェーズ2試験。

 患者は治療前(12カ月以内)に生検を受け、腫瘍検体あるいは血液検体を用いて次世代シーケンサー(NGS)とCGHアレイで解析が行われた。6-8サイクルの導入化学療法を行った後、病勢進行がなく、標的となる遺伝子異常があった患者を、遺伝子異常に合った標的治療を受ける群と維持化学療法を受ける群に2:1に分けた。

 SAFIR02-BREAST試験では、遺伝子異常に合わせた8剤(オラパリブ、capivasertib、vistusertib、AZD8931、バンデタニブ、ビカルタミド、AZD4547、selumetinib)と維持化学療法が比較された。SAFIR-PI3K試験は、PIK3CA変異のある患者を対象に、PI3Kα特異的阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法と維持化学療法が比較された。

 対象となった1462人のうち、標的となる遺伝子異常があり、2つの試験に組み込まれ、プール解析の対象となったのは238人(16%)で、維持化学療法が81人、標的治療が157人だった。

 ESCATは、遺伝子異常に基づく治療の実施可能性をエビデンスに基づいて6段階に分けている(Mateo et al. Ann Oncol. 2018)。最もランクが高いIは、遺伝子異常と薬剤の組み合わせが臨床試験においてアウトカムの改善に関連するもの。IIは、遺伝子異常と薬剤の組み合わせが抗腫瘍効果に関連するが、有用性の程度は明らかでないもの。

 ESCATのIかIIの患者(115人)において、PFSの中央値は標的治療群(75人)で9.1カ月(90%信頼区間:7.1-9.8)、維持化学療法群(40人)で2.8カ月(90%信頼区間:2.1-4.8)であった。層別化因子による調整後ハザード比は0.41(90%信頼区間:0.27-0.61)、p<0.001だった。

 全体患者(238人)では、2群間でPFSに有意な差はなかった。調整後ハザード比0.77(95%信頼区間:0.56-1.06)、p=0.109だった。サブグループ解析で、ESCATがI/IIの患者では標的治療群のPFSが良好だが、I/IIでない患者では標的治療群の有用性は明らかでなかった(未調整ハザード比1.15、95%信頼区間:0.76-1.75)。

 これらの結果から、ゲノムプロファイリングは、ESCATなどの治療薬につながる遺伝子異常が検証された枠組みに基づいて行われた場合にのみ臨床的有用性があり、ゲノムレポートはその枠組みに従って遺伝子異常をランク付けしなくてはならないとした。またオンコロジストはESCATのIII以上の遺伝子異常に対する標的薬を投与すべきではなく、患者はESCAT I/IIの遺伝子異常を検出するための検査を提供されるべきであるとしている。

 さらに転移性乳癌の特徴を明らかにするため、CDK4/6阻害薬の治療を受けた患者でDNAコピー数変化が解析された。この結果、CDK4/6阻害薬の治療を受けた患者(102人)では受けなかった患者(312人)に比べて、CDK4遺伝子増幅が多いことが示された。

 また、オラパリブを投与したBRCA1/2遺伝子変異の患者(31人)では、ヘテロ接合性消失(LOH)が認められた患者でPFSは有意に良好だった(未調整ハザード比0.32、95%信頼区間:0.14-0.73、p=0.005)。また相同組換え修復欠損(HRD)スコアが高い(42以上)患者でPFSが延長した(未調整ハザード比0.32、95%信頼区間:0.12-0.83、p=0.013)。このためオラパリブ治療においてLOHとHRDはPFSの延長に関与しているとした。

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