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2021/11/12

HER2遺伝子増幅の治癒切除不能難治性進行・再発大腸癌にトラスツズマブとペルツズマブの併用が有効

横山勇生=編集委員

 国立がん研究センターと日本医療研究開発機構は11月11日、GI-SCREEN-Japan/GOZILA Studyの研究成果に基づいて、腫瘍組織または循環腫瘍DNA(ctDNA)でHER2遺伝子が増幅していることが確認された治癒切除不能な難治性の進行・再発大腸癌(mCRC)に対して、トラスツズマブペルツズマブの併用療法が有効であることを確認したと発表した。国立がん研究センター東病院で実施された多施設共同医師主導フェーズ2試験であるTRIUMPH試験の最終解析で有効性が確認された。

 TRIUMPH試験の結果は、Nature Medicine誌オンライン版に11月12日付で掲載された。産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクトであるSCRUM-Japanの新たな成果となった。TRIUMPH試験の結果に基づいて、中外製薬がHER2陽性大腸癌に対するペルツズマブとトラスツズマブの併用療法の承認申請を2021年4月に行っている。

 TRIUMPH試験は標準化学療法不応・不耐なmCRC患者でRAS遺伝子が野生型、腫瘍組織を用いたゲノム解析で遺伝子増幅が確認され、IHC3+またはFISH陽性(ERBB2/CEP比が2以上)が確認された患者と、リキッドバイオプシーによるctDNAのNGS(Guardant360)解析でHER2遺伝子増幅が確認された患者を対象とした。HER2陽性大腸癌においてRAS変異がHER2標的治療の抵抗性に関わることが過去の臨床試験より知られていることから、RAS遺伝子野生型が対象とされた。

 患者には、3週ごとにトラスツズマブ(初回のみ8mg/kg、2回目以降は6mg/kg)、ペルツズマブ(初回のみ840mg、2回目以降は420mg)が投与された。主要評価項目は研究グループの判定による奏効率で、腫瘍組織でHER2増幅が確認された患者とctDNAで確認された患者の2群で調べられた。副次評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、治療成功期間(TTF)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間 (OS)、安全性などだった。

 最終解析のデータカットオフは2020年3月31日。7施設で30人が登録された。観察期間中央値は組織でHER2陽性が確認された患者が9.2カ月、リキッドバイオプシーで確認された患者が7.6カ月だった。

 試験の結果、組織検体でHER2陽性だった27人中8人で部分奏効(PR)以上が得られ奏効率は30%、ctDNAでHER2陽性だった25人中7人でPR以上が得られ奏効率は28%で、あらかじめ設定された有効性評価基準(25人中5人以上のPR以上)を上回る有効性が得られた。また、SCRUM-Japanレジストリに登録されたHER2陽性大腸癌患者で、TRIUMPH試験に参加した患者と同様の基準だったが治験には入らず標準治療(レゴラフェニブかFTD/TPIのどちらか)を受けた患者13人においては奏効を認めた患者はなく、トラスツズマブとペルツズマブの併用療法の有効性が確認された。

 無増悪生存期間(PFS)中央値は組織検体患者で4.0カ月、リキッドバイオプシー患者で3.1カ月、全生存期間(OS)中央値は組織検体患者で10.1カ月、リキッドバイオプシー患者で8.8カ月、奏効期間中央値は組織検体患者で12.1カ月、リキッドバイオプシー患者で8.1カ月だった。

 また、探索的な解析で、治療前の遺伝子パネル検査において、HER2の遺伝子コピー数が多い、他のがんゲノム異常が併存していないという良好因子がある患者はない患者よりもトラスツズマブとペルツズマブの併用療法の効果が高いことも確認された。組織検体でHER2陽性患者において、良好因子を有する患者のPFS中央値は6.2カ月、良好因子がない患者は2.2カ月、リキッドバイオプシーでHER2陽性患者において、良好因子を有する患者のPFS中央値は5.6カ月、良好因子がない患者は1.6カ月だった。

 さらに治療開始前に加えて試験中にリキッドバイオプシーを治療開始3週間後、病勢進行後に行い、治療による癌の変化を経時的に評価したところ、治療開始3週間後にctDNAが減少していた患者の方が効果が高く、リキッドバイオプシーで治療効果が予測できる可能性も示された。ctDNAが減少した患者のPFS中央値は5.0カ月、増加した患者は2.2カ月だった。病勢進行後のリキッドバイオプシーの解析で、様々な癌ゲノム異常が新たに出現していることが認められ、治療の抵抗性に関与している可能性も示され、新たな治療法の開発につながることも期待できるという。

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