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2021/09/25

がん患者におけるCOVID-19後遺症は治療継続を阻み死亡リスクを増大させる【ESMO 2021】

中西美荷=医学ライター

 男性や高齢者、併存疾患のある人、喫煙者を中心に、がん患者では少なくとも15%でCOVID-19後遺症が認められる。COVID-19後遺症はがんの治療継続を妨げるほか、死亡リスクを76%増大させる。The OnCOVID registryに登録され、COVID-19から回復したがん患者の臨床再評価によって明らかになったもので、9月16日から21日までWEB上で開催された欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)において、イタリアUniverssity of L’AquilaのAlessio Cortellini氏が報告した。

 登録の適格基準は、18歳以上、PCRによるSARS-Cov-2感染の確認、COVID-19罹患時における固形癌または悪性血液疾患の既往で、2020年2月27日から2021年2月14日までに6カ国35施設から2795例が登録された。今回の解析対象はCOVID-19からの回復後に臨床再評価を受けた1557例で、COVID-19後遺症の頻度、タイプのほか、罹患時にがんに対する全身治療(SACT)を行っていた患者では、回復後のSACT再開状況についても調査した。

 解析のカットオフ日は2021年3月1日で、COVID-19後の追跡期間中央値は128日(95%信頼区間:113-148)。

 234例(15%)において、少なくとも1つのCOVID-19後遺症が認められた。症状は多岐にわたり、最も多かったのは呼吸器症状で49.6%(呼吸困難/息切れ[SOB]33.8%、慢性咳嗽6.4%、その他10.7%)、慢性疲労41.0%、体重減少5.5%、神経-認知症状7.3%、その他の臓器不全1.7%、その他18.4%だった。

 COVID-19後遺症は、男性(54.5% vs. 47.2%、p=0.0407)、65歳以上(55.1% vs. 48.1%、p=0.0489)、2つ以上の併存疾患(48.3% vs. 36.4%、p=0.0006)、喫煙歴あり(55.9% vs. 42.3%、p=0.0004)、COVID-19で合併症あり(54.3% vs. 20.9%、p<0.0001)、治療を要するCOVID-19(65.8% vs. 52.6%、p<0.0001)、COVID-19で要入院(72.2% vs. 41.2%、p<0.0001)の患者で多く認められた。Cortellini氏は「基本的にCOVID-19の症状が重症である場合に後遺症も出てくると考えられ、(重症化抑制に寄与する)ワクチン接種を進める上で、重要な知見」とした。

 COVID-19後生存期間は、少なくとも1つの症候性COVID-19後遺症があった患者で短かった。呼吸器症状であるかどうかは生存期間に影響を及ぼさなかったが、複数の後遺症は負の影響を及ぼした。多変量解析により、COVID-19後遺症は独立した死亡のリスク因子であることが示された。すべての交絡因子(性別、年齢、合併症、腫瘍の特徴や抗腫瘍治療、COVID-19の重症度)を補正した後のハザード比は1.76(95%信頼区間:1.16-2.66)で、リスク増大は76%におよんだ。

 COVID-19罹患時にSACTを行っていた471例のうち70例(14.8%)が回復後も完全にSACTを中止していた。178例(37.8%)は用量/レジメンを調節した上で再開していた。治療中止は、喫煙/禁煙者(44.7% vs. 34.2%、p=0.0423)、COVID-19の合併症(35.5% vs. 17.9%、p<0.0001)、COVID-19で要入院(51% vs. 45.4%、p=0.0004)、再評価時にCOVID-19後遺症あり(18.8% vs. 9.6%、p=0.0216)で多かったが、がんの病期とは関連していなかった(p=0.5491)。COVID-19後遺症があった人に限ると、SACTに変化なし9.6%、用量/レジメンの調節14.6%、完全に中止22.9%で、COVID-19後遺症は罹患後のSACTに有意な影響を与えていた(χ2=8/2、df=2、 p=0.0164)。

 主治医への調査により、SACT中止の理由は、PS悪化が45.1%、病勢進行が16.1%、臓器不全の後遺症が6.3%だったことが明らかになった。またSACT変更の理由は、通院回避のため(40%)、免疫抑制を回避するため(57.3%)、有害事象を回避するため(20.3%)などだった。

 予備的な多変量解析(Cortellini氏)により、完全な治療中止は死亡リスクを増大させることが示された。交絡因子補正後のハザード比は3.53(95%信頼区間:1.45-8.59)で、リスク増大は3倍以上に及んだ。一方、SACTの用量/レジメン変更は生存に悪影響を与えなかった。

 Cortellini氏は、「COVID-19後遺症について、事前に計画された定期的な診断が行われているわけではないといった限界はあるが、がん患者では、少なくとも15%がCOVID-19後遺症を経験するという情報を提供できたのではないか。COVID-19後遺症はがん治療の継続に影響を与え、完全な治療中止は死亡リスクを増大させるが、用量やレジメンの変更があっても再開できれば死亡リスク増大には繋がらない。COVID-19生存者であるがん患者において適切なアウトカムを得るための重要なステップは、COVID-19後遺症についての意識、認識(awareness and recognition)と早期治療だ」と話した。

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