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2021/09/24

直腸間膜筋膜への浸潤がない局所進行直腸癌で術前CapeOXはカペシタビンを用いた術前CRTと同様のpCR率【ESMO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 直腸間膜筋膜への浸潤がない局所進行直腸癌に対し、オキサリプラチンカペシタビンCapeOX療法)を用いた術前化学療法は、カペシタビンを用いた術前化学放射線療法と比べて、病理学的完全奏効(pCR)率と良好なダウンステージング(ypStage 0-1)が得られた割合は同様で、周術期の遠隔転移と予防的な回腸瘻造設術が行われた割合は有意に少ないことが、非盲検、第3相のランダム化比較試験CONVERTから示された。9月16日から21日までWEB上で開催された欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのPei-Rong Ding氏が発表した。

 直腸間膜筋膜への浸潤がない局所進行直腸癌に対する現在の標準治療は術前化学放射線療法(nCRT)である。CONVERT試験では、直腸間膜筋膜への浸潤がない局所進行直腸癌患者を対象に、CapeOX療法を用いた術前化学療法(nCT)とカペシタビンを用いたnCRTを比較した。

 対象は、II/III期、直腸間膜筋膜への浸潤はない局所進行直腸癌患者で、肛門縁から12cm以内(2019年4月以前は5-12cm)であること、ECOG PS 1以下であることとした。CapeOX療法によるnCTを行う群(nCT群)、またはカペシタビンを用いてnCRTを行う群(nRCT群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。nCT群では、21日を1サイクルとし、オキサリプラチン130mg/m2を1日目、カペシタビン1000mg/m2を1-14日目まで1日2回経口投与し、4サイクル繰り返した。nCRT群では、カペシタビン825mg/m2を1日2回投与し、週5日間行う放射線治療(50Gy)と同時併用した。術後化学療法として、nCT群ではCapeOX療法を4サイクル、nCRT群ではCapeOX療法を6サイクル行った。

 主要評価項目は、3年時の局所無再発生存期間(local regional failure free survival)、副次的評価項目は、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、病理学的完全奏効(pCR)率、腫瘍縮小グレード(TRG)、R0切除率、安全性などだった。今回は、副次的評価項目の初期の結果が報告された。

 2014年6月から2020年10月までに登録された663人をランダム化割り付けし、ITT解析対象はnCT群331人、nRCT群332人、nCTまたはnCTを開始したPP解析対象はそれぞれ300人、289人となった。ITT解析対象では、両群の患者背景はバランスがとれており、年齢中央値はいずれも60.1歳、男性はnCT群63.1%、nCRT群61.3%、cT4はそれぞれ27.8%、25.6%、肛門縁から5cm以内の腫瘍は43.1%(137人)、39.8%(127人)だった。

 PP解析対象における全体的な安全性は、両群で同様だった。術前療法では、グレード3-4の有害事象はnCT群12.3%、nCRT群8.3%に発現した。術前療法を規定の用量で行うことができたのは、nCT群86.3%、nCRT群91.0%で有意差はなかった(p=0.074)。術後療法では、グレード3-4の有害事象はnCT群5.1%、nCRT群9.0%に発現した。術後療法を規定の用量で行うことができたのは、nCT群の52.8%、nCRT群の44.1%で有意差はなかったが(p=0.065)、nCRTでややコンプライアンスが低かった。

 PP解析対象において、pCR率は、nCT群11.0%、nCRT群13.8%(p=0.333)、cCR率はそれぞれ0.7%、1.7%(p=0.278)、良好なダウンステージングが得られた割合はそれぞれ40.8%、45.6%(p=0.265)となり、nCT群とnCRT群で同様だった。nCT群では、nCRT群と比べて周術期の遠隔転移が有意に減少し、発生率はそれぞれ0.7%、3.1%だった(p=0.034)。

 PP解析対象において、TRG 0-1となった割合は、nCT群24.0%、nCRT群38.6%(p<0.001)、肛門縁から5cm以内の腫瘍ではそれぞれ23.8%、41.6%となった(p<0.001)。R0切除率は、nCT群99.6%、nCRT群99.6%(p=0.999)、肛門縁から5cm以内の腫瘍でも同じ結果となった。予防的な回腸瘻の造設は、nCT群の52.2%、nCRT群の63.6%に行われ、nCT群で有意に少なく(p=0.008)、肛門縁から5cm以内の腫瘍ではそれぞれ71.3%、72.4%だった(p=0.860)。

 Ding氏は「CapeOX療法で行う術前化学療法は、直腸間膜筋膜への浸潤がない局所進行直腸癌に対し、化学放射線療法に替わる選択肢となる可能性がある」とし、今回の結果を確認するためには長期の経過観察が必要とした。

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