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2021/09/23

大腸癌肝転移の2次治療で化学療法とY-90を用いた肝動脈放射線塞栓術の併用がPFSとhPFSを有意に延長【ESMO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 大腸癌肝転移の2次治療として、化学療法にイットリウム90を用いた肝動脈放射線塞栓術(Y-90 TARE)を併用することにより、化学療法のみと比べて、無増悪生存期間(PFS)と肝無増悪生存期間(hepatic PFS、hPFS)が有意に延長することが、国際的な多施設共同、非盲検、第3相のランダム化比較試験EPOCHから示された。同試験は、Y-90 TAREと化学療法の併用について、大腸癌肝転移の2次治療でポジティブな結果を示した初の第3相試験となった。9月16日から21日までWEB上で開催された欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、米Northwestern UniversityのMary F. Mulcahy氏が発表した。

 大腸癌肝転移に対する2次治療において、Y-90 TAREと全身化学療法の併用の安全性と有効性は不明である。

 EPOCH試験の目的は、大腸癌肝転移で、1次治療で増悪した患者に対する2次治療として、化学療法とY-90ガラスミクロスフェアを用いたTAREの併用について、安全性と有効性を検討することだった。

 主な適格基準は、単葉または両葉に切除不能な大腸癌肝転移を有し、2次治療のイリノテカン/オキサリプラチンベースの治療を受けることが可能で、RECISTv1.1で測定可能な病変があり、ECOG PS 0または1、ビリルビン値が正常値上限の1.2mg/dL以下、アルブミン値が3.0g/dL以上であることだった。層別化因子は、単葉/両葉の転移、イリノテカン/オキサリプラチンベースの1次治療、KRAS遺伝子変異の状態だった。

 Y-90 TAREと化学療法(±分子標的治療)を併用する群(TARE群)、または化学療法(±分子標的治療)のみを行う群(化学療法群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。TARE群では、1サイクル目は化学療法、2サイクル目はY-90 TAREを行い、3サイクル目に化学療法±分子標的治療を再開した。経過観察は8週毎に行い、増悪または肝転移の増悪または死亡まで継続した。

 主要評価項目はPFSとhPFSの2つで、盲検下独立中央評価(BICR)を行い、片側検定の有意水準αを0.00248と設定した。副次的評価項目は、全生存期間(OS)、臨床症状悪化までの期間(TTSP)、BICRによる奏効率と病勢コントロール率(DCR)、QOL悪化までの期間(TTQoL)だった。

 95施設から428人が登録され、TARE群215人、化学療法群213人となった。患者背景はバランスがとれており、年齢中央値はそれぞれ63.0歳、60.0歳、男性は62.8%、64.8%、KRAS遺伝子変異陽性は46.5%、47.4%、肝臓の腫瘍量が10%以上25%未満は25.1%、22.1%、転移個数が3個未満は11.6%、9.9%、原発腫瘍が左側だったのは69.8%、63.8%だった。

 割り付けられた治療が行われたのは、TARE群87.0%、化学療法群89.7%だった。2次治療でイリノテカンベースの治療が行われたのは、TARE群60.5%、化学療法群57.7%、平均サイクル数はそれぞれ9.0、9.5、オキサリプラチンベースの治療が行われたのは、TARE群34.0%、化学療法群31.9%、平均サイクル数はそれぞれ8.5、8.8、生物学的製剤が投与されたのは40.9%、43.7%だった。

 2つの主要評価項目はいずれも達成された。PFS中央値は、TARE群8.0カ月(95%信頼区間:7.2-9.2)、化学療法群7.2カ月(95%信頼区間:5.7-7.6)、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.54-0.88)、p=0.0013となった。12カ月時のPFS率は、TARE群25.8%(95%信頼区間:18.9-33.1)、化学療法群13.2%(95%信頼区間:7.5-20.5)だった。

 hPFS中央値は、TARE群9.1カ月(95%信頼区間:7.8-9.7)、化学療法群7.2カ月(95%信頼区間:5.7-7.6)、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.46-0.77)、p<0.0001となった。12カ月時のhPFS率は、TARE群29.8%(95%信頼区間:22.4-37.6)、化学療法群13.5%(95%信頼区間:7.7-20.9)だった。

 PFSのサブグループ解析では、KRAS遺伝子変異陽性、肝臓の腫瘍量が10%以上25%未満、転移個数3個未満、原発腫瘍が左側、生物学的製剤を追加したグループなどで、Y-90 TAREのベネフィットが認められた。hPFSのサブグループ解析では、KRAS遺伝子変異、肝臓の腫瘍量が25%未満、転移個数3個未満、原発腫瘍が左側または右側、生物学的製剤を追加したグループなどで、Y-90 TAREのベネフィットが認められた。

 OS中央値は、TARE群14.0カ月(95%信頼区間:11.8-15.5)、化学療法群14.4カ月(95%信頼区間:12.8-16.4)、ハザード比1.07(95%信頼区間:0.86-1.32)、p=0.7229となった。

 奏効率は、TARE群34.0%(95%信頼区間:28.0-40.5)、化学療法群21.1%(95%信頼区間:16.2-27.1)となった。完全奏効(CR)はそれぞれ0.9%、1.4%、部分奏効(PR)は33.0%、19.7%、安定状態(SD)は45.6%、51.6%、増悪は12.6%、12.7%だった。

 試験治療下で発現した有害事象(TEAE)のうち、化学療法に関連するものは、TARE群92.0%、化学療法群91.3%、デバイスに関連するものはTARE群の55.1%、血管造影の手技に関連するものはTARE群の29.4%に発現した。グレード3以上のTEAEは、TARE群68.4%、化学療法群49.3%、重篤なTEAEはそれぞれ37.4%、20.8%に発現した。化学療法の中止が必要となったTEAEは、TARE群12.8%、化学療法群12.1%で報告された。

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