このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2021/09/23

腎細胞癌に対する術後補助療法としてのペムブロリズマブ投与で健康関連QoLや症状スコアの臨床的に意義ある低下なし【ESMO 2021】

中西美荷=医学ライター

 腎細胞癌(RCC)に対するペムブロリズマブによる術後補助療法は、患者報告アウトカム(PRO)としての健康関連QoLあるいは症状スコアを低下させないことが、KEYNOTE-564試験によって示された。9月16日から21日までWEB上で開催された欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、米国Dana Farber Cancer InstituteのToni K Choueiri氏が報告した。

 根治的腎摘出術を受けたRCC患者では、術後に一定の割合で再発が起こる。KEYNOTE-564試験(NCT03142334)は、再発リスクが高い淡明細胞型RCC患者に対する術後補助療法としてのペムブロリズマブとプラセボを比較した無作為化二重盲検フェーズIII試験である。中間解析の成績として、ペムブロリズマブ群において主要評価項目の無病生存期間(DFS)が有意に延長することがすでに報告されているが(N Engl J Med. 2021;385(8): 684-694)、重要な副次評価項目の全生存期間(OS)は追跡中である。

 今回報告されたPROは、腎臓に特化したがん治療機能評価の基準であるFKSI-DRS、癌患者の全般的なQOLを評価する調査票であるEORTC QLQ-C30の全般的健康と5つの活動性尺度、9つの身体症状尺度を用い、52週(治療終了時)における最小二乗平均(LS mean)の変化を比較した。ベースラインからの「臨床的に意義ある変化」は、既報にもとづき、FKSI-DRSでは3ポイント、QLQ-C30では10ポイントとした(Value Health. 2007; 10(4): 285-93、Qual Life Res. 2015; 24(5): 1207-16)。

 PROの解析対象は、無作為割付けされて1回以上被検薬の投与を受け、かつ1回以上の評価が行われた患者。PRO評価のコンプライアンスは80%を超え、52週におけるPRO評価の完遂率は60%だった。

 FKSI-DRSスコアのLS meanの変化は、ペムブロリズマブ群で-1.12(95%信頼区間:-1.53--0.71)、プラセボ群で-0.45(95%信頼区間:-0.84--0.05)で、Choueiri氏は「両群ともにFKSI-DRSは維持された。臨床的に意義ある変化の閾値(3ポイント)には至らず、両群の信頼区間には重なりがあった」と説明した。

 QLQ-C30の全般的健康および5つの活動性尺度のLS meanの変化は、ペムブロリズマブ群で-4.25(95%信頼区間:-6.32--2.19)、プラセボ群で-1.68(95%信頼区間:-3.69-0.32)。QLQ-C30の9つの身体症状尺度のLS meanの変化は、ペムブロリズマブ群で-1.81(95%信頼区間-3.19--0.43)、プラセボ群で-0.90(95%信頼区間:-2.23-0.44)だった。

 探索的解析として、104週までのスコアの平均の経時的変化をプロットしたが、全般的にプラセボ群でやや良好だったものの、信頼区間は重なっていた。また、やはり探索的解析として評価した改善/変化なし/悪化の患者割合は、FKSI-DRSスコア、QLQ-C30の全般的健康および5つの活動性尺度、QLQ-C30の9つの身体症状尺度いずれについても両群で差を認めなかった。

 Choueiri氏は、「健康関連QoLあるいは症状スコアの臨床的に意味ある変化は認められなかった。PROの結果は、すでに示されている有効性および安全性の解析で得られた知見を支持するものであり、ペムブロリズマブはRCC患者に対する術後補助療法の新たな標準治療となる可能性がある」とした。

 ディスカッサントのBrian Rini氏(米国Vanderbilt-Ingram Cancer Center)は、ペムブロリズマブの忍容性が良好で「集団としてのQOL」を大きく低下させないことは驚くようなことではないが、再発が起きないような患者においても起こりうる、生涯にわたり大きな影響を与える免疫関連有害事象(irAE)や治療関連死は捉えられていないこと、用いられた評価法は、主に進行癌の症状に関連するものであるにも関わらず、DFSベネフィットのあるペムブロリズマブ群の方が低スコア(QOLが低い)だったことは、いくぶん驚きとも言えること、設定された「臨床的に意義ある変化」は推論的なものに過ぎないことなどを指摘。

 QOLが重要であることに異論はないが、用いられたQOL評価法は、特に術後補助療法としてのがん免疫療法(IO)におけるQOLの変化を適切に捉えるものではないとした。そして、RCCの術後補助療法としてペムブロリズマブを用いるかどうかの決断に際しては、再発を抑えるかどうか、KEYNOTE-564試験ではまだ結果が示されていないOSのベネフィットがあるかどうかと、低頻度ではあるが起こりうる重篤な有害事象とのベネフィットリスクバランスを、個々の患者ベースで評価すべきとの見解を示した。

この記事を友達に伝える印刷用ページ