このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2021/09/21

dd-MVAC療法による術前化学療法は筋層浸潤性膀胱癌の3年時のPFS率を有意に改善【ESMO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 筋層浸潤性膀胱癌MIBC)に対する周術期化学療法として、dose-dense MVAC療法dd-MVAC療法メトトレキサートビンブラスチンドキソルビシンシスプラチン)は、GC療法ゲムシタビン+シスプラチン)と比べて、術前化学療法として行った場合に3年時の無増悪生存(PFS)率を有意に改善し、より良好な局所コントロールが得られることが、第3相のGETUG/AFU V05 VESPER試験から示された。9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021)で、フランスHopital Charles-Nicolle-CHU de RouenのChristian Pfister氏が発表した。

 現在のMIBCに対する標準治療は膀胱切除術と周術期化学療法であるが、シスプラチンベースの化学療法が生存にもたらすベネフィットは限られている。臨床ではdd-MVAC療法とGC療法が多く行われているが、第3相のランダム化比較試験は行われておらず、最適な周術期化学療法のレジメンは定義されていない。

 VESPER試験では、周術期化学療法として、dd-MVAC療法とGC療法を術前化学療法と術後化学療法において評価した。

 組み入れ基準は、純粋型または混合型の尿路上皮癌で、ECOG PS 2以下、シスプラチンの投与に適格であることなどだった。術前化学療法では、≧T2、N0(CTでリンパ節が10mm以下)、M0、術後化学療法では、>pT2またはpN+およびM0であることとした。

 化学療法は、GC療法を3週毎に4サイクル行う群(GC療法群)、またはdd-MVAC療法を2週毎に6サイクル行う群(dd-MVAC療法群)とした。GC療法群では、ゲムシタビン1250mg/m2を1日目と8日目、シスプラチン70mg/m2を1日目に投与した。dd-MVAC療法群では、メトトレキサート30mg/m2を1日目、ビンブラスチン3mg/m2を2日目、ドキソルビシン30mg/m2を2日目、シスプラチン70mg/m2を2日目に投与し、G-CSF製剤も併用した。

 2013年2月から2018年3月までに、フランスの28施設からMIBC患者500人が登録された。このうち493人がITT解析対象となり、術前化学療法は437人(88%)人、術後化学療法は56人に行われた。主要評価項目は3年時のPFS率だった。

 GC療法群は245人、dd-MVAC療法群は248人となった。GC療法群とdd-MVAC療法群において、年齢中央値はそれぞれ63歳(範囲59-69)、63歳(58-68)、男性は84%、81%、術前化学療法/術後化学療法の割合は89%/11%、88%/12%、ランダム化割り付け時にcT2N0/cT3N0/cT4N0(術前化学療法)だったのは、それぞれ95%/3.7%/1.8%、90%/5.5%/4.1%、ランダム化割り付け時にpT3N0/pT4N0/pN+(術後化学療法)だったのは、それぞれ12%/15%/73%、30%/10%/60%だった。

 術前化学療法として、予定された4サイクルのGC療法を受けたのは84%、予定された6サイクルのdd-MVAC療法を受けたのは60%だった。術後化学療法では、それぞれ81%、40%だった。

 術前化学療法を行った患者のうち、膀胱切除術が行われたのは、GC療法群90%、dd-MVAC療法群91%だった。これらの患者における病理学的奏効(<ypT3N0)は、GC療法群の63%、dd-MVAC療法群の77%で得られ、dd-MVAC療法群で有意に多かった(p=0.001)。

 主要評価項目である3年時のPFS率は、周術期化学療法全体では、dd-MVAC療法群64%、GC療法群56%、ハザード比0.77(95%信頼区間:0.57-1.02)、p=0.066となった。術前化学療法のみでみると、3年時のPFS率は、dd-MVAC療法群66%、GC療法群56%、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.51-0.96)、p=0.025となり、dd-MVAC療法で有意に高かった。術後化学療法のみでは、サンプルサイズが少ないため、結論することはできなかった。

 3年時の無増悪期間(TTP)は、dd-MVAC療法群で有意に延長した。TTP率は、周術期化学療法全体では、dd-MVAC療法群69%、GC療法群58%、ハザード比0.68(95%信頼区間:0.50-0.93)、p=0.014となった。術前化学療法のみでみると、3年時のTTP率のハザード比は0.62(95%信頼区間:0.44-0.87)、p=0.005となった。

 全生存(OS)率は、周術期化学療法全体では、ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.55-1.00)、術前化学療法のみでは、ハザード比は0.66(95%信頼区間:0.47-0.92)となった。

 Pfister氏は「VESPER試験は、MIBCの化学療法の歴史においてマイルストーンとなる」と話し、OSの最終データにより、今回の結果が確認され、免疫療法と併用する最適な化学療法を評価する今後の試験がデザインされるとした。

この記事を友達に伝える印刷用ページ