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2021/09/21

マイクロサテライト安定性でMGMT発現抑制の転移性大腸癌にテモゾロミドによるプライミングと低用量イピリムマブ+ニボルマブは有望【ESMO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 マイクロサテライト安定性MSS)でMGMT発現抑制の転移性大腸癌に対し、テモゾロミドによるプライミングの後に、低用量イピリムマブニボルマブを投与することで有効性が得られる可能性が、フェーズ2試験のMAYA試験で示された。

 イタリアIstituto Nazionale dei Tumori di MilanoのFillippo Pietrantonio氏らが、9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で発表した。

 DNA修復遺伝子MGMTはプロモーター領域のメチル化で不活化される。MGMTはアルキル化剤によるDNAを修復するが、MGMTの不活化でテモゾロミドなどのアルキル化剤の感受性は高まる。しかしMGMTメチル化のmCRC患者においてテモゾロミドの奏効率は10%未満であり、その効果はIHC法でMGMT発現が陰性およびMSSの患者に限定される。そのためタンパク質レベルだけでなく、遺伝子変異も伴うMGMTの完全なサイレンシングが必要であるとした。

 またテモゾロミドによる臨床効果が得られた患者における二次耐性(獲得耐性)は高頻度の変異(hypermutation)と関連し、さまざまな癌種でミスマッチ修復(MMR)遺伝子の獲得変異が認められる。このことから、テモゾロミドによるプライミングでTMB(遺伝子変異量)は高くなり、MSSのmCRCにおいて免疫感作することが考えられるという。

 MAYA試験(NCT03832621)は、多施設共同、単群のフェーズ2試験。標準薬で増悪もしくは標準薬の適応がないmCRCで、中央判定でMSSが確認され、IHC法でMGMT発現陰性およびパイロシークエンス法でMGMTプロモーター領域のメチル化が確認された患者を対象に行われた。

 テモゾロミド150mg/m2を1-5日目に4週おきに投与し、2サイクル投与した(プライミングフェーズ)。CT画像所見で病勢が進行しない患者(CR、PR、SDの患者)に対し、イピリムマブ1mg/kgを8週おきに、ニボルマブ480mgを4週おきに併用投与した(第2治療フェーズ)。

 主要評価項目は、第2治療フェーズに至った患者における8カ月時点の無増悪生存(PFS)率だった。副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性、患者報告アウトカムだった。

 帰無仮説は8カ月PFS率が5%、対立仮説を20%とした場合に27人の患者が必要だった。8カ月時点で無増悪の患者が4人のときに帰無仮説は棄却される。

 2019年4月から2020年11月までにイタリア12施設で716人が同意し、703人で組織検体が解析された。細胞遺伝学的に適格基準を満たした204人(29%)のうち、142人が試験に登録した。135人がプライミングフェーズを開始し、33人(24%)が第2治療フェーズを開始した。

 33人の年齢中央値は58歳、男性52%、原発巣が右側の患者が45%、RAS変異型が76%、RAS/BRAF野生型24%、前治療数が1回は6%、2回が46%、3回以上が48%だった。

 この結果、観察期間中央値16.0カ月(カットオフは2021年8月5日)で、8カ月PFS率は36%となり、主要評価項目は達成された。PFS中央値は7.1カ月(95%信頼区間:5.6-8.4)だった。33人中12人はPFSが8カ月を超えた。

 OS中央値は18.4カ月(95%信頼区間:14-評価できず)だった。ORRは42%(33人中14人がPR)であった。

 スパイダープロットでは、8カ月以内で増悪した患者もいたが、持続的な効果が認められる患者もいた。スイマープロットでは患者の3分の1は治療を継続しており、一部の患者で再度のバイオプシーを行い、TMB高値を認めた患者もいた。

 症例が提示された。肝転移を有した患者で、治療により腫瘍は縮小し、外科的切除が可能になった。また治療早期にTMBは5/Mbだったが、手術時に15/Mbに増加していた。
 
 安全性プロファイルは管理可能で、各薬剤の既報と一致していた。グレード3/4の頻度は低かった。テモゾロミドと関連した主な有害事象は嘔吐や血小板減少症、イピリムマブ+ニボルマブでは皮疹と大腸炎が見られた。

 以上の結果から、MSSでMGMTサイレンシングのmCRCにおいて、テモゾロミドによるhypermutaionがイピリムマブとニボルマブ併用の持続的な効果をもたらすことを実証したとした。このためこの治療を無作為化比較試験で検討するに値するとしたが、治療に適格となる患者はmCRCの5%のみであるとも述べた。試験ではさらにトランスレーショナル解析が実施されている。

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