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2021/09/20

HER2陽性の転移性大腸癌に対するT-Dxdの効果はHER2発現や遺伝子増幅と関連【ESMO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 HER2陽性の転移を有する大腸癌(mCRC)患者において、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンT-Dxd)の効果は、HER2発現またはHER2遺伝子増幅と関連する可能性が、多施設オープンラベルフェーズ2試験のDESTINY-CRC01試験の探索的なバイオマーカー解析で明らかになった。

 イタリアUniversita degli Studi di Milano/Niguarda Cancer CenterのSalvatore Siena氏らが、9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO2021)で発表した。

 DESTINY-CRC01(NCT03384940)試験は、HER2発現が中央判定で確認されたmCRC患者で、2回以上の前治療を受けた患者を対象に行われた。T-DXd 6.4mg/kgを3週おきに投与した。患者は3つのコホートに分けられた。コホートAはHER2 IHC3+またはIHC2+/ISH+の患者(HER2陽性:53人)、コホートBはIHC2+/ISH-の患者(15人)、コホートCはIHC1+の患者(18人)。

 試験の主要解析において、T-DXdはHER2陽性mCRC患者での抗腫瘍効果と管理可能な安全性プロファイルを示した(ASCO 2020)。主要評価項目であるコホートAの奏効率(ORR)は45.3%(95%信頼区間:31.6-59.6)、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.9カ月だった。今回はバイオマーカーのデータと効果との関連性が報告された。

 コホートAで、治療前と4サイクル目の1日目、治療終了時に組織検体と血液検体を採取した。組織検体からHER2の状態をIHC法とISH法で測定した。血液検体から血漿中の循環腫瘍DNA(ctDNA)を抽出し、ERBB2増幅、ERBB2コピー数(検体間のばらつきを補正するため最大変異アリルで調整)、500遺伝子の異常、遺伝子変異量(TMB)を測定した。血清からHER2のドメインの1つである細胞外ドメイン(HER2 ECD)も測定した。

 この結果、腫瘍のHER2発現が高いほど、良好な効果が認められた。IHC3+ではORRは57.5%(95%信頼区間:40.9-73.0)、IHC2+/ISH+では7.7%(95%信頼区間:0.2-36.0)だった。

 ERBB2遺伝子増幅のタイプ別に、限局した領域(focal)の場合はORRが55.6%(95%信頼区間:38.1-72.1)だが、異数性(aneuploidy)によるものもしくは検出されない場合は25.0%(95%信頼区間:7.3-52.4)だった。

 血漿中のERBB2コピー数が高い場合(30.9以上)はORRが62.5%(95%信頼区間:40.6-81.2)、低い場合(30.9未満)あるいは検出されない場合は32.1%(95%信頼区間:15.9-52.4)となった。

 また血清中のHER2-ECD値が高い場合(23.5ng/mL以上)では63.6%(95%信頼区間:40.7-82.8)、低い場合(23.5ng/mL未満)では29.6%(95%信頼区間:13.8-50.2)となった。

 活性型RAS(NRAS/KRAS)変異(コドン12, 13, 59, 61, 117, 146)が検出された患者のORRは33.3%、RAS野生型の患者では47.8%だった。活性型PIK3CA変異のある患者でORRは33.3%、野生型の患者で47.8%だった。また血中TMBが高い患者(20/Mb以上)でのORRは23.1%、TMBが低い患者(20/Mb未満)は53.8%だった。

 PFS中央値は、IHC3+の患者では8.3カ月(95%信頼区間:5.4-10.9)、IHC2+/ISH+の患者では4.1カ月(95%信頼区間:1.3-評価できず)だった。HER2-ECD高値の患者では8.3カ月(95%信頼区間:5.4-11.3)、HER2-ECD低値の患者では4.1カ月(95%信頼区間:2.9-7.3)だった。

 ERBB2コピー数高値の患者でPFS中央値は10.9カ月(95%信頼区間:8.3-12.7)、ERBB2コピー数低値の患者では4.1カ月(95%信頼区間:2.8-6.9)だった。ERBB2増幅のタイプがfocalの場合は8.7カ月(95%信頼区間:4.1-11.3)それ以外では4.1カ月(95%信頼区間:1.6-6.9)だった。

 活性型RAS変異がある患者でのPFS中央値は4.1カ月(95%信頼区間:1.3-評価できず)、RAS野生型あるいはそのほかのRAS変異型の患者では7.6カ月(95%信頼区間:4.1-10.8)だった。活性型PIK3CA変異のある患者では4.1カ月(95%信頼区間:1.3-評価できず)、PIK3CA野生型あるいはそのほかのPIK3CA変異型の患者では7.3カ月(95%信頼区間:4.1-10.9)だった。

 増悪した患者30人の治療前と増悪時に採取されたctDNAから、12人で獲得した変異が認められた。BRAF(V600E、V600M)やCASP8、KEAP1などの遺伝子変異が認められたが、患者間で共通するものはなかった。

 以上の結果から、HER2陽性mCRC患者において、T-DXdの抗腫瘍効果は、治療前のHER2発現やHER2増幅と関連していることが示唆されたとした。またctDNAの解析で活性型RAS変異、活性型PIK3CA変異、血中TMBが高値の患者でも抗腫瘍効果のあることが示されたとしている。T-DXdの有効性と安全性の評価はさらに、HER2過剰発現、RAS変異型と野生型のmCRC患者を対象にフェーズ2試験のDESTINY-CRC02試験で行われている。

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