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2021/09/19

プラチナ製剤感受性再発卵巣癌においてPARP阻害薬後のPARP阻害薬は有効 【ESMO 2021】

中西美荷=医学ライター

 PARP阻害薬を含む前治療数の多いプラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対するオラパリブ再投与での維持療法により、BRCA1/2遺伝子バリアントや相同組替え修復欠損(HRD)の状態に関わらず、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが、二重盲検無作為化フェーズIIIb試験OReO/ENGOT Ov-38(NCT03106987)により示された。9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、フランスARCAGY-GINECOのEric Pujade-Lauraine氏が報告した。

 対象は、最後のプラチナ製剤ベースの化学療法に感受性(CR/PR)で1回のPARP阻害薬維持療法歴を有する粘液性癌以外の再発卵巣癌患者。BRCA1/2遺伝子の病的バリアントありのBRCAmコホート、なしのnon-BRCAmコホートそれぞれを、ベバシズマブ治療歴(あり/なし)、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療数(3以下/4以上)で層別化した上で、オラパリブ群(300mg、前治療で300mgに不耐の場合は250mgを1日2回投与)あるいはプラセボ群に2対1で無作為割付けし、病勢進行まで治療を続けた。主要評価項目はRECISTv1.1に則った研究者評価でのPFS。

 BRCAmの112例は74例がオラパリブ群、38例がプラセボ群に、non-BRCAmの108例は72例がオラパリブ群、36例がプラセボ群に割付けられた。患者背景はBRCAmの方が若年だったこと以外は同様だった。BRCAmではオラパリブ群の93%、プラセボ群の92%、non-BRCAmでは両群ともに86%が3ライン以上の化学療法歴を有し、最後のプラチナ製剤ベースの化学療法でCRを得ていた患者割合は、それぞれ20%、34%、26%、31%だった。

 BRCAmコホート、non-BRCAmコホートのいずれにおいても、主要評価項目は満たされた。BRCAmコホートにおけるPFS中央値はオラパリブ群(追跡期間中央値4.1カ月)4.3カ月、プラセボ群(追跡期間中央値2.8カ月)2.8カ月で、ハザード比は0.57(95%信頼区間:0.37-0.87、p=0.022)。またKaplan-Meier法による推定6カ月PFS率はそれぞれ35%、13%、12カ月PFS率は19%、0%で、Pujade-Lauraine氏は、「オラパリブのベネフィットは長期的だと考えられる」とした。

 non-BRCAmコホートにおけるPFS中央値は、オラパリブ群(追跡期間中央値2.9カ月)5.3カ月、プラセボ群(追跡期間中央値2.8カ月)2.8カ月で、ハザード比は0.43(95%信頼区間:0.26-0.71、p=0.0023)。Kaplan-Meier法による推定6カ月PFS率はそれぞれ30%、7%、12カ月PFS率は14%、0%だった。non-BRCAmコホートにおけるPFSベネフィットは、相同組替え修復欠損(HRD)の患者により押し上げられたものでないことも示された。HRD患者のPFS中央値は、オラパリブ群(29例)5.3カ月、プラセボ群(16例)2.8カ月でハザード比は0.52(95%信頼区間:0.26-1.10)、推定6カ月PFS率はそれぞれ64%、31%、12カ月PFS率は29%、15%だった。HRDのない患者では、オラパリブ群(30例)5.4カ月、プラセボ群(11例)2.8カ月でハザード比は0.49(95%信頼区間:0.21-1.23)、推定6カ月PFS率はそれぞれ60%、18%、12カ月PFS率は34%、0%だった。

 オラパリブによるPFS改善は、前治療の数やレジメン、効果、PARP阻害薬治療期間など、さまざまなサブグループで一貫して認められたが、「例数が少ないため、解釈には注意を要する」(Pujade-Lauraine氏)。

 オラパリブの安全性プロファイルは、両コホートで同様かつ初回治療時と一貫性があり、多かったものは疲労、悪心、貧血で、低グレードだった。治療下で発現した有害事象(TEAE)による中止はBRCAmのオラパリブ群2例(3%)、non-BRCAmのオラパリブ群1例(1%)のみだった。骨髄異型性症候群(MDS)/急性骨髄性白血病(AML)の発症は1例もなかった。

 ディスカッサントのClare Scott氏(University of Melbourne/Walter and Eliza Hall Institute of Medical Researchほか)は、PARP阻害薬で増悪した卵巣癌患者に対してオラパリブ+VEGFR阻害薬のCediranibを投与したEVOLVE試験において、HRDの2次変異による機能回復(復帰変異)やABCB1アップレギュレーションを認めた患者はベネフィットを受けない一方で、復帰変異がなくCCNE1の増幅を認めた患者ではベネフィットが得られたとの報告(Clin Cancer Res. 2020;26(16): 426-4215)に触れ、「PARP阻害薬後のPARP阻害薬は有効と考えられるが、適切な治療対象やタイミングを明らかにすべきで、今後、バイオマーカーdrivenの試験や他剤との併用療法の試験などが必要」との見解を示した。

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