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2021/09/19

relacorilant間欠投与とnab-パクリタキセルの併用はプラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌のPFSとDoRを有意に延長【ESMO 2021】

中西美荷=医学ライター

 選択的グルココルチコイド受容体(GR)モジュレーターrelacorilantの間欠投与とnab-パクリタキセル(nab-PTX)の併用により、プラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌の無増悪生存期間(PFS)と奏効期間(DoR)がnab-PTX単剤と比較して有意に延長することが、無作為化フェーズII比較試験(NCT03776812)で示された。9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、イタリアFondazione Policlinico Universitario Gemelli IRCCSのDomenica Lorusso氏が報告した。

 前臨床および臨床データにより、relacorilantは、GR拮抗作用によって化学療法感受性を回復させ、プラチナ製剤およびタキサンの作用を増強することが示されている。本試験の対象は、プラチナ製剤抵抗性/不応性の卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌で、4ラインまでのプラチナ製剤を含む化学療法歴を有する178例。再発までの期間(6カ月以内、以上)と腹水の有無で層別化し、以下の3群に1:1:1で無作為割付けした。主要評価項目はRECISTv.1.1評価でのPFS。

 relacorilant(150mg)をnab-PTX投与の前日、当日、翌日に投与+nab-PTX(80mg/m2)を28日1サイクルの1、8、15日目に投与するR間欠群(60例)、relacorilant(100mg/日)を連日投与+ nab-PTX(80mg/m2)を28日1サイクルの1、8、15日目に投与するR継続群(58例)、nab-PTX(100mg/m2)を28日1サイクルの1、8、15日目に投与する対照群(60例)とした。relacorilant併用の2群でnab-PTXを対照群よりも低用量とした理由については、「relacorilantがnab-PTXの代謝を阻害するため」と説明した。3群の患者背景は同様だった。また既治療数中央値は3群とも2ラインだった。

 追跡期間中央値11.1カ月において、R間欠群で対照群と比較して有意なPFS延長を認めた(p<0.05、ログランク検定)。PFS中央値はR間欠群5.55カ月(95%信頼区間:3.68-7.20)、R継続群5.29カ月(95%信頼区間:3.84-5.55)、対照群3.76カ月(95%信頼区間:3.52-5.36)で、対照群に対するハザード比はR間欠群0.66(95%信頼区間:0.44-0.98)、R継続群0.83(95%信頼区間:0.56-1.22)だった。

 奏効率(ORR)はR間欠群35.7%(95%信頼区間:23.4-49.6)、R継続群35.2%(95%信頼区間:22.7-49.4)、対照群35.8%(95%信頼区間:23.1-50.2)で同等だった。一方、奏効期間(DoR)中央値はそれぞれ5.55カ月、3.79カ月、3.65カ月で、R間欠群で対照群と比較して有意な延長を認めた(ハザード比0.36、95%信頼区間:0.16-0.77、p=0.006)。

 全生存期間(OS)は、中間解析結果(追跡期間中央値10.3カ月、maturity63%)として報告された。OS中央値はR間欠群12.94カ月(95%信頼区間:9.13-NA)、R継続群11.30カ月(95%信頼区間:7.59-NA)、対照群10.41カ月(95%信頼区間:8.41-16.76)、対照群に対するハザード比はR間欠群0.63(95%信頼区間:0.35-1.14)、R継続群1.07(95%信頼区間:0.62-1.85)。

 多く観察された有害事象は、好中球減少、貧血、末梢神経障害だったが、大部分がグレード1または2だった。またR間欠群86.3%、R継続群93.1%、対照群93.3%がrelacorilantまたはnab-PTX治療を中止していたが、理由としてもっとも多かったのは病勢進行で、有害事象による中止はR間欠群11.7%、R継続群13.8%、対照群6.7%だった。

 Lorusso氏は被検治療の安全性について、「nab-PTXにrelacorilantを間欠投与で併用することによる毒性増強はないと考えられる」とした。「ただし、relacorilantとnab-PTX併用は、フェーズI試験において用量規定毒性として発熱性好中球減少を認めたため、全例にプロトコール規定でG-CSFが投与されている。対照群でG-CSFが投与されたのは46.7%で、これは研究者が通常行っている標準治療として投与したもの」と付け加えた。

 なお、サブ試験として137例で被検治療前の腫瘍検体のmRNA発現解析が行われており、全例でGRをコードするmRNAであるNR3C1の高発現が認められた。免疫組織化学染色(IHC)によるGR発現の評価は現在進行中である。またサイクル1の15日目投与前に採取した末梢血を用い、GRアゴニスト誘導性の239遺伝子の発現変動を解析したところ、relacorilant併用ではnab-PTX単独と比較してSGK1発現が低下していた(具体的なシグナル値は言及されず。p=0.013)。薬力学解析では、両剤併用により、239の遺伝子のうちSGK1を含む221の遺伝子発現が抑制されていた。

 今回の成績を元に、relacorilant間欠投与+nab-PTXを化学療法と比較するフェーズIII試験を計画中である。

 ディスカッサントのRosalind Glasspool氏(英国Beatson West of Scotland Cancer Centre/University of Glasgow)は、なぜ間欠投与でのみPFS改善が認められたのか、その一方でなぜORRは3群で差がなかったのかといった疑問もあるとし、「卵巣癌治療においてrelacorilantは有望だが、(成功のためには)GR経路など、バイオロジーと機序のさらなる解明がキーとなる。トランスレーショナル研究が不可欠である」とした。

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