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2021/09/19

トリプルネガティブ乳癌の術前補助療法にカルボプラチン追加でEFSを改善、長期観察の結果【ESMO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 トリプルネガティブ乳癌(TNBC)の術前補助療法として、パクリタキセルにカルボプラチンを追加することで無イベント生存期間(EFS)を改善したことが、無作為化フェーズ3試験であるBrighTNess試験の観察期間4年以上の結果で明らかになった。一方、PARP阻害薬veliparibの追加はEFSと全生存期間(OS)の改善に寄与しなかった。

 ドイツCenter for Hematology and Oncology BethanienのSibylle Loibl氏らが、9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で発表した。

 BrighTNess試験では、手術可能なTNBCにおいて、術前補助化学療法にカルボプラチン+veliparibあるいはカルボプラチンを追加することで、病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善し、許容できる安全性プロファイルを示すことがすでに報告されている。しかしカルボプラチン術前補助療法の長期の影響は明らかでなかった。

 試験は、未治療のステージ2/3のTNBC女性患者634人を対象に行われた。患者は、パクリタキセル80mg/m2を週1回、16週までに12回投与し、カルボプラチンAUC 6mg/mL/分を3週毎、4サイクル投与、およびveliparib 50mgを1日2回経口投与する群(PCbV群)、パクリタキセルとカルボプラチン、プラセボを投与する群(PCb群)、パクリタキセルとプラセボを投与する群(P群)に2:1:1で無作為に割り付けた。その後、すべての患者は、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC療法)を2-3週間おきに4サイクル投与された。

 無作為化にあたり、生殖細胞系列(g)BRCAの状態、リンパ節転移、AC療法の投与スケジュール(2週おき、3週おき)で層別化された。

 主要評価項目はpCR、副次評価項目はEFSとOS、安全性だった。まずPCbV群とP群の比較が行われ、次にPCbV群とPCb群の順で行われた。fixed sequence法で、2つの主要評価項目が達成された場合に副次評価項目が解析された。なお主要解析で、PCbV群はP群より優れていたが、PCb群には劣っていたため、その後の二次解析は名目上の(nominal)p値を用いた記述的解析とした。

 今回は長期のEFSとOS、術後4年時点の二次発癌の頻度が報告された。

 患者背景は3群間でバランスがとれていた。年齢中央値は50歳、gBRCA変異のある患者は15%、リンパ節転移のない患者が58%、AC療法が2週おきの患者が55%であった。

 観察期間中央値は4.5年で、PCbV群とP群のEFSハザード比は0.63(95%信頼区間:0.43-0.92)、p=0.02だった。PCbV群とPCb群ではハザード比は1.12(95%信頼区間:0.72-1.72)、p=0.62であった。また事後解析で、PCb群とP群のEFSハザード比は0.57(95%信頼区間:0.36-0.91)、p=0.02となった。

 死亡は、PCbV群316人中38人(12%)、PCb群で160人中16人(10%)、P群で158人中22人(14%)であった。PCbV群とP群のOSハザード比は0.82(95%信頼区間:0.48-1.38)、p=0.45で、PCbV群とPCb群ではハザード比1.25(95%信頼区間:0.70-2.24)、p=0.46だった。事後解析で、PCb群とP群のOSハザード比は0.63(95%信頼区間:0.33-1.21)、p=0.17となった。

 治療中および治療後の骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、二次発癌の発生頻度は群間で類似していた。MDSはPCbV群で2%、PCb群で2%、P群で1%未満、二次発癌は2%、4%、3%だった。
 
 またpCRが得られた患者のEFSは、pCRが得られなかった患者に比べて良好で(ハザード比0.26)、これはgBRCAの状態(変異型、野生型)でも同様だった。

 これらの結果は、ステージ2/3のTNBCに対する術前補助療法として、gBRCAの状態に関わりなく、カルボプラチン追加を支持するものであるとしている。

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