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2021/09/18

2-3年のタモキシフェン術後補助療法を受けた閉経後乳癌にレトロゾールの5年投与は2-3年投与より予後を改善【ESMO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 術後補助療法として2-3年のタモキシフェン投与を受けた閉経後ホルモン受容体陽性乳癌患者において、レトロゾール5年の延長投与は、2-3年のレトロゾール投与と比較して、無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)を有意に改善することが、Gruppo Italiano Mammella(GIM)による無作為化フェーズ3試験のGIM4試験の最終報告で明らかになった。

 イタリアIRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのLucia Del Mastro氏らが、9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で発表した。

 試験は、前向きの非盲検フェーズ3試験として実施された。閉経後ホルモン受容体陽性ステージ1-3の乳癌で、2-3年間のタモキシフェン投与で再発しなかった患者を、アロマターゼ阻害薬のレトロゾールを2-3年間投与する群(対照群:内分泌療法を5年間)とレトロゾールを5年間投与する群(延長群:内分泌療法を7-8年間)に無作為に1:1で割り付けた。

 主要評価項目は、浸潤癌のない生存期間(DFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)と安全性であった。DFSは、無作為化から、局所再発、遠隔転移、対側もしくは同側乳癌、非浸潤性乳管癌を除き、二次発癌、何らかの原因の死亡、追跡不能や試験終了のイベントが起こるまでの期間と定義された。

 2005年から2010年にイタリアの69施設で2056人の患者が登録された。タモキシフェン投与期間の中央値は対照群(1030人)で2.4年、延長群(1026人)で2.5年だった。レトロゾール投与期間の中央値は対照群2.4年、延長群5.0年だった。治療中止は対照群19%、延長群37%で、毒性や患者拒否などによるものだった。

 観察期間中央値11.7年(IQR 9.5-13.1)で、DFSイベントは対照群で262人、延長群は212人だった。12年推定DFS率は、対照群で62%(95%信頼区間:57.5-66.5)、延長群67%(95%信頼区間:62.2-71.2)であった。ハザード比は0.78(95%信頼区間:0.65-0.93)、p=0.006だった。

 また最初の2-3年は両群とも同じ治療を受けることから、治療の分岐時点でのランドマーク解析も行われた。10年推定DFS率は、対照群で59%(95%信頼区間:53.1-64.1)、延長群68%(95%信頼区間:63.1-72.5)で、ハザード比は0.73(95%信頼区間:0.60-0.90)、p=0.002だった。

 サブグループ解析でも全体として延長群のほうが良好だったが、リンパ節転移のない患者とリンパ節転移のある患者では有意な違いがあった。

 死亡は、対照群147人、延長群で116人であった。12年推定OS率は、対照群で84%(95%信頼区間:81.8-86.9)、延長群で88%(95%信頼区間:85.7-90.5)だった。ハザード比は0.77(95%信頼区間:0.60-0.98)、p=0.036となった。

 主な有害事象は、関節痛、筋肉痛だった。骨折、高コレステロール血症、心血管イベントについて2群で比較したところ、有意な違いはなかったが、心血管イベントは対照群で1人、延長群は6人だった(p=0.069)。

 以上の結果から、この試験ではアロマターゼ阻害薬を7年まで延長したほうが良いことが示されたが、別の試験であるNSABP B42試験では10年投与で良い結果が得られている。一方でIDEAL試験とABCSG-16試験では10年投与は7年投与に比べて有意な改善はなかった。このため効果と毒性から適切な投与期間は7-8年と考えると述べた。

 結論として、 2-3年のタモキシフェン投与を受けた閉経後乳癌患者において、レトロゾール5年の延長投与は、標準治療の1つとして考慮されるべきであるとした。この結果は発表同日にLancet Oncology誌に掲載された。

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