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2021/09/18

悪性胸膜中皮腫の1次治療でのニボルマブとイピリムマブ併用のOS延長効果は3年観察でも持続【ESMO 2021】

横山勇生=編集委員

 切除不能悪性胸膜中皮腫の1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブ抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法が、標準的な化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチン)よりも全生存期間(OS)を延長する効果が持続していることが3年間の観察で明らかとなった。フェーズ3試験であるCheckMate-743試験の観察期間が3年以上の解析の結果示された。また探索的な解析から、炎症遺伝子シグネチャーが高い患者でニボルマブとイピリムマブ併用のOS改善効果が高いことも分かった。

 9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021)で、スイスLausanne University HospitalのSolange Peters氏が発表した。

 CheckMate-743試験はオープンラベル多施設無作為化フェーズ3試験。ECOG PS 0-1で、組織学的に確認された切除不能な全身治療歴のない悪性胸膜中皮腫患者を、ニボルマブとイピリムマブの併用群(303人)と標準的化学療法群(302人)に1対1で割り付けて行われた。ニボルマブとイピリムマブ併用群の患者には、ニボルマブが2週おきに3mg/kg、イピリムマブが6週おきに1mg/kg投与された。投与は最長で2年まで行われた。標準的化学療法群の患者には、白金系抗癌薬(シスプラチン75mg/m2かカルボプラチンAUC 5)とペメトレキセド500mg/m2が6サイクル投与された。

 中間解析でハザード比0.74(96.6%信頼区間:0.60-0.91)、p=0.0020で有意にニボルマブとイピリムマブの併用群でOSが延長できたことは既に報告されていた(関連記事)。

 今回発表されたのは、OSの長期観察結果と事前に規定された探索的なバイオマーカーの解析の結果。RNAシークエンスによって解析されたCD8A、PD-L1、STAT-3、LAG-3の4つの炎症遺伝子の発現シグネチャーのスコアとOSの関連、ベースラインの好中球/リンパ球比と乳酸脱水素酵素レベルから算出される肺免疫予後指標(LIPI:Lung immune prognostic index)のサブグループ別のOS、腫瘍変異量(TMB)とOSの関係も調べられた。

 データベースロックは2021年5月7日で、最短観察期間中央値は35.5カ月(観察期間中央値は43.1カ月)の結果が発表された。OS中央値は、ニボルマブとイピリムマブ併用群が18.1カ月(95%信頼区間:16.8-21.0)、標準的化学療法群が14.1カ月(95%信頼区間:12.4-16.3)、ハザード比0.73(95%信頼区間:0.61-0.87)でニボルマブとイピリムマブの併用群で延長していた。3年OS率は、ニボルマブとイピリムマブ併用群が23%、標準的化学療法群が15%で、カプランマイヤー曲線はしっかり離れたままだった。

 OSのサブグループ解析は概してニボルマブとイピリムマブ併用群が優位だった。組織型で上皮型、PD-L1陰性患者でニボルマブとイピリムマブ併用群と標準的化学療法群の差が縮まっていたが、標準的化学療法群の効果に差があったためで、ニボルマブとイピリムマブ併用群のOS中央値は変わらなかった。上皮型患者の36カ月OS率はニボルマブとイピリムマブ併用群が24%、標準的化学療法群が19%、非上皮型患者の36カ月OS率はニボルマブとイピリムマブ併用群が22%、標準的化学療法群が4%だった。

 36カ月無増悪生存(PFS)率はニボルマブとイピリムマブ併用群が14%、標準的化学療法群が1%。ニボルマブとイピリムマブ併用群は、24カ月PFS率(18%)と比べて4%低下しただけだった。

 奏効率は、ニボルマブとイピリムマブ併用群が39.6%、標準的化学療法群が44.0%。36カ月奏効期間(DOR)率は、ニボルマブとイピリムマブ併用群が28%、標準的化学療法群が0%だった。

 バイオマーカー解析の結果、4炎症遺伝子の発現シグネチャーのスコアが高い患者でニボルマブとイピリムマブ併用のOSがより長かった。スコアが高い患者のOS中央値は21.8カ月、低いスコアの患者で16.8カ月だった。一方標準的化学療法群のOSには、4炎症遺伝子発現シグネチャースコアとの関連はなかった。

 また、ベースラインLIPIが良好、中間、不良のいずれのサブグループにおいても、ニボルマブとイピリムマブ併用群が化学療法群よりもOSが良い傾向が認められた。OSハザード比は、LIPI良好患者が0.78、LIPI中間患者が0.76、LIPI不良患者が0.83だった。TMBの量によるOSの差は認められなかった。

 グレード3-4の治療関連副作用の発現率は、ニボルマブとイピリムマブ併用群が31%、化学療法群が32%で、以前に報告された段階より増加は認められなかった。

 事後解析の結果、治療関連副作用でニボルマブとイピリムマブ併用が中止となった52人のOS中央値は25.4%、3年OS率は37%、奏効率は67%。投薬中止後のDOR中央値は20.0カ月で、3年以上奏効が持続していたのは34%だった。投薬中止になった患者でも良い結果が得られていた。

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