このページの本文へ

がんナビ

がんナビについて

がん患者さんとその家族のために、がんの治療や患者さんの日々の生活をナビゲートします。

がん種から情報を探す

  • 乳がん
  • 肝がん
  • 大腸がん
  • 腎がん
  • 胃がん
  • 肺がん
  • 食道がん
  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 膵がん
  • 卵巣がん
  • その他のがん

News ニュース

ニュース一覧へ

新着一覧へ

ニュース

2021/09/17

85歳以上の高齢肝細胞癌患者に対する陽子線治療は有効かつ忍容性良好 【ESMO 2021】

中西美荷=医学ライター

 肝細胞癌に対する陽子線治療は、85歳以上の高齢患者において有効かつ忍容性良好であることが、単施設の後方視的研究における長期追跡結果により示された。9月16日から21日までWEB上で開催されている欧州臨床腫瘍学会ESMO 2021)で、筑波大学附属病院放射線腫瘍科の飯泉天志氏が報告した。

 対象は同施設で2001年11月から2014年11月に根治的陽子線治療(PBT)を受けた75歳以上の肝細胞癌(HCC)患者201例で、追跡期間中央値34.9カ月において予後と安全性を検討した。

 生存期間中央値(MST)は40カ月で、Kaplan-Meier法で推定した1年全生存(OS)率は89.7%、3年OS率は54.1%、5年生存率は32.1%。Young-old(75-79歳:98例48.8%)、Old-old(80-84歳:74例36.8%)、Oldest-old(85歳以上:29例14.4%)の3群比較で有意差は認められず(p=0.4、ログランク検定)、85歳以上の患者においても、PBTにより75-84歳の患者と同様の良好な成績が得られることが示された。

 1年無増悪生存(PFS)率は34.4%、3年PFS率は32.9%、5年PFS率は10.5%だった。また死亡を競合リスクとしてCumulative incidence function(CIF)法で推定した1年局所再発(LR)率は4.7%、3年LR率は9.6%、5年LR率は11.4%だった。

 PBTの忍容性は良好で、グレード3以上(CTCAEv.4.0)の毒性は観察されなかった。急性期の障害としてグレード1の皮膚炎を58例(28.9%)、グレード2の皮膚炎を14例(7.0%)で認めた。また晩期の障害としてグレード1の色素沈着過剰を4例(2.0%)、毛細血管拡張症を2例(1.0%)、肋骨骨折を2例(1.0%)、下肢浮腫を1例(0.5%)、グレード2の腹水を7例(3.5%)、胃出血、食道炎、肺臓炎、胸水、心嚢液貯留をそれぞれ1例(0.5%)で認めた。

 HCCに対する放射線治療の成績については、いくつか報告があるものの、観察期間が短く、症例数も少ない(Shiba S et al., BMC Cancer. 2017; 17(1): 721、Teraoka Y et al., Hepatol Res. 2018; 48(2) : 193-204、Iwata H et al., Cancers (Basel). 2021; 13(2) : 219、Hata M et al., Int J Radiat Oncol Bio Phys. 2007; 69(3) : 805-12)。またそれらは、特に85歳以上という超高齢の患者に注目した研究ではない。

 今回の研究の32.1%という5年OS率は、それら既報の成績(29-60%)に匹敵するものであり、また40カ月というMSTは保存的治療(Seo JH et al., In Vivo. 2019; 33(1): 145-154)と比較して長く、グレード3以上の毒性も観察されなかったことから、飯泉氏らは、「PBTは高齢HCC患者に対する優れた治療であることが示唆される」とした。また日本の85歳の男女の平均余命はそれぞれ6.67年、8.76年であることを考えると、これらの成績は「超高齢者に対する根治的PBTの有用性を支持するものだ」と考察した。

 なお患者背景は、年齢中央値80歳(75-92)、男性が133例66.2%を占め、PSは0が90例(44.8%)、1-3が111例(55.2%)、Child-Pugh分類はA(5)が118例(58.7%)、A(6)が62例(30.8%)、B(7-9)が19例(9.5%)、C(10)が1例(0.5%)、不明1例(0.5%)だった。背景肝疾患はC型肝炎(HCV)が最も多く123例(61.2%)、非B非C肝硬変(NBNC)が63例(31.4%)で、106例(52.7%)は治療歴なしという集団だった。

 また腫瘍の特徴は、腫瘍径中央値(範囲)が3.9cm(1.0-15.5)、腫瘍数は1個が145例(72.1%)、複数が56例(27.9%)。11例(5.8%)に門脈腫瘍栓(PVTT)、5例(2.5%)に下大動脈腫瘍栓(IVCTT)を認め、アルファフェトプロテイン(AFP)中央値(範囲)は17.1ng/mL(1.0-152638.0)、Des-r-carboxy Prothrombin(DCP)中央値(範囲)は85mAU/mL(4-194070)だった。

この記事を友達に伝える印刷用ページ