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2021/09/14

ES-SCLCの1次治療でデュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法によるOSの延長はHLA-DQB1*03:01と相関【WCLC 2021】

森下紀代美=医学ライター

 進展型小細胞肺癌ES-SCLC)に対する1次治療として、抗PD-L1抗体デュルバルマブ抗CTLA-4抗体トレメリムマブ+EP療法(エトポシド+白金系抗癌薬)による全生存期間(OS)の延長は、HLA-DQB1*03:01の存在と相関することが、非盲検の第3相ランダム化比較試験CASPIANのHLA遺伝子型の探索的な解析から示された。デュルバルマブ+EP療法、EP療法ではこのような相関は認めなかった。9月8日から14日までWEB上で開催されているthe IASLC 2021 World Conference on Lung Cancer(WCLC 2021)で、イタリアFondazione IRCCS Istitute Nazionale dei TumoriのMarina Chiara Garassino氏が発表した。

 CASPIAN試験では、ES-SCLC患者の1次治療として、デュルバルマブ+EP療法(エトポシドとシスプラチンまたはカルボプラチン)群とEP療法群の比較、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群とEP療法群の比較が行われた。この試験には日本を含む23カ国から209施設が参加している。

 データカットオフ日を2019年3月11日とした解析では、デュルバルマブ+EP療法群は、EP療法群と比べてOSを有意に延長し、ハザード比は0.73(95%信頼区間:0.59-0.91)、p=0.0047となった(L.Paz-Ares, et al. Lancet 2019;394:1929-39)。このベネフィットは観察期間中央値が2年を超えても持続した。一方、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群は、EP療法群と比べて数字上はOSを改善したが、統計学的な有意差はなかった(J. W. Goldman, et al. Lancet Oncol 2021;22:51-65)。

 SCLCでは、免疫療法の有効性を予測するバイオマーカーは十分確立されていない。HLA-Iの発現と遺伝子型は、SCLCなどで免疫チェックポイントの阻害に対する反応と関連することが過去に示されている。

 Garassino氏らは、今回の事後解析において、CASPIAN試験におけるHLA-I/II遺伝子型とOSの関係を評価した。

 CASPIAN試験では、未治療のES-SCLCでWHO PS 0/1の患者805人を、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群、デュルバルマブ+EP療法群、EP療法群の3群に1対1対1でランダムに割り付けた。デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群では、デュルバルマブ1500mg、トレメリムマブ75mg、EP療法(エトポシド80-100mg/m2とカルボプラチンAUC5-6またはシスプラチン75-80mg/m2)を3週毎に4サイクル投与し、その後はデュルバルマブを4週毎に増悪まで投与した。デュルバルマブ+EP療法群も3週毎に4サイクル投与し、その後はデュルバルマブを4週毎に増悪まで投与した。EP療法群では、3週毎に6サイクルまで投与し、その後は医師の判断による予防的全脳照射(PCI)が選択肢とされた。

 主要評価項目はOSだった。遺伝子研究のための血液検体の提供に同意した患者には、1日目の投与前に採血を行った。次世代シーケンシングを用いて、生殖細胞系列全エクソームシーケンシングから、遺伝子型判定のHLA-タイピング(4桁)を推測した。HLA class Iとclass IIの各6つのアレルを解析した。データカットオフ日は2020年1月27日とした。

 414人(ITT解析対象の51%)でHLA-I/IIの遺伝子型の評価が可能だった。デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群は142人、デュルバルマブ+EP療法群は143人、EP療法群は129人となった。

 この患者集団におけるOS中央値は、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群11.2カ月(95%信頼区間:10.0-13.9)、EP療法群10.5カ月(95%信頼区間:9.2-11.2)、ハザード比は0.71(95%信頼区間:0.55-0.93)となった。デュルバルマブ+EP療法群のOS中央値は14.6カ月(95%信頼区間:10.8-15.9)で、EP療法群に対するハザード比は0.65(95%信頼区間:0.49-0.84)となった。

 DQB1*03:01は、414人中153人(37%)で認められた。このアレルは、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群ではOSの延長と相関し、OS中央値は、DQB1*03:01陽性の患者(58人)で14.9カ月(95%信頼区間:10.4-21.2)、陰性の患者(84人)で10.5カ月(95%信頼区間:7.6-12.9)、ハザード比0.59(95%信頼区間:0.39-0.88)となった。

 デュルバルマブ+EP療法群、EP療法群ではこのような相関はみられなかった。デュルバルマブ+EP療法群では、OS中央値はDQB1*03:01陽性の患者(57人)で14.7カ月(95%信頼区間:11.5-16.3)、陰性の患者(86人)で14.3カ月(95%信頼区間:9.4-17.2)、ハザード比は0.93(95%信頼区間:0.63-1.37)だった。EP療法群では、OS中央値はDQB1*03:01陽性の患者(38人)で9.7カ月(95%信頼区間:7.7-11.7)、陰性の患者(91人)で10.5カ月(95%信頼区間:8.9-11.3)、ハザード比は0.94(95%信頼区間:0.61-1.40)だった。

 DQB1*03:01の存在は、デュルバルマブ+トレメリムマブ+EP療法群でOSが18カ月を超える患者を増やし、18カ月以下の患者に対するオッズ比は2.28となった。デュルバルマブ+EP療法群、EP療法群のオッズ比は、それぞれ0.96、0.92だった。

 Garassino氏は「今回の知見は、MHC class II複合体の一部として、HLA-DQB1*03:01に役割があるとするものかもしれない。このアレルは、CD4陽性T細胞に腫瘍のネオアンチゲンを提示するが、CTLA-4の発現で活性が抑制される。今後の研究で、腫瘍の微小環境におけるDQB1*03:01の役割を解明する根拠となる」とした。

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