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2021/06/15

再発・難治性FLへのCD19標的CAR-T細胞療法薬axicabtagene ciloleucelは実地臨床データと比較して高い効果を確認【EHA 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 再発・難治性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、CD19標的キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法axicabtagene ciloleucelの有効性は多施設単群フェーズ2試験のZUMA-5試験で報告されている。長期観察でも有効性は維持され、また傾向スコア法を用いてZUMA-5試験の適格基準に一致した多様な実地臨床のデータと比較しても、深い持続的な効果を示していることが明らかになった。

 米Roswell Park Comprehensive Cancer CenterのPaola Ghione氏らが、6月9日から17日にオンラインで開催されている欧州血液学会(EHA2021)で発表した。

 ZUMA-5試験は、2レジメン以上の前治療が不応となった再発・難治性のインドレント(低悪性度)非ホジキンリンパ腫を対象に、CD19を標的としたCAR-T細胞療法薬axicabtagene ciloleucelを検討した単群多施設オープンラベルフェーズ2試験。主要解析の結果、再発・難治性FL(グレード1-3A)に対し、奏効率は94%、12カ月生存率は92.9%と報告されている。

 SCHOLAR-5は、国際多施設のデータで、この中から外部対照コホートとして、ZUMA-5試験の適格基準に一致した再発・難治性のFL患者が抽出された。2014年7月以降に治療が開始された5カ国7施設の患者データが用いられた。ピボタル試験であるidelalisibのフェーズ2試験であるDELTA試験のデータもSCHOLAR-5コホートに含まれている。

 DELTA試験データを除き、SCHOLAR-5コホートは、実地臨床での治療のためレジメンは多様だった。初回治療は抗CD20抗体を用いた治療がほとんどで、3次治療以降は抗CD20抗体を用いた治療のほか、化学療法、免疫調整薬、PI3K阻害薬、移植などが行われていた。臨床試験による治療は後方ラインで用いられていた。

 観察期間中央値は、ZUMA-5試験では23.3カ月、SCHOLAR-5コホートでは26.2カ月であった。

 SCHOLAR-5コホートでは143人(DELTA試験から25人)が同定されたが、ZUMA-5試験のFL患者86人の患者背景を比較すると、男性や前治療不応例の割合、移植歴、リンパ節の大きさを除き、有意な違いがあった。

 患者背景のバランスを調整するため、傾向スコアの重み付けを適用したところ、年齢、初回の抗CD20抗体と化学療法の併用療法開始から24カ月以内の増悪(POD24)、前治療数、最終治療からの期間、診断からの期間は一致した。前治療数の平均はZUMA-5試験で3.6回、SCHOLAR-5コホートでは3.53回、前治療不応例が73.3%と76.6%だった。しかし調整後もSCHOLAR-5コホートではECOG PS 1の割合が71%で、ZUMA-5試験の40.7%より高かった。

 SCHOLAR-5コホートは85人となり、ZUMA-5試験の患者86人を対象に、奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、次治療までの期間(TTNT)が比較された。

 比較の結果、ORRはZUMA-5試験で94.2%(86人中81人)、SCHOLAR-5コホートは49.9%(85人中42人)となり、オッズ比は16.24(95%信頼区間:5.63-46.85)、p<0.0001と、axicabtagene ciloleucel治療のほうが良好だった。完全奏効(CR)率は79.1%と29.9%でオッズ比8.86(95%信頼区間:4.3-18.25)、p<0.0001だった。前治療が3ライン以上の患者でも、同様の傾向を示した。

 PFSもZUMA-5試験で延長した。PFS中央値は、ZUMA-5試験では到達せず(95%信頼区間:23.52-NE)、SCHOLAR-5コホートでは12.68カ月(95%信頼区間:6.19-14.73)で、PFSのハザード比は0.30(95%信頼区間:0.18-0.49)、p<0.001だった。前治療が3ライン以上を含むサブグループで同様の傾向を示した。

 次治療までの期間(TTNT)の中央値は、ZUMA-5試験では到達せず(95%信頼区間:NE-NE)、SCHOLAR-5コホートで14.43カ月(95%信頼区間:6.24-25.76)、TTNTのハザード比は0.42(95%信頼区間:0.26-0.68)、p<0.001だった。

 OS中央値も、ZUMA-5試験では到達せず(95%信頼区間:31.6-NE)、SCHOLAR-5コホートで59.8カ月(95%信頼区間:21.9-NE)、OSのハザード比0.42(95%信頼区間:0.21-0.83)、p=0.0125であった。前治療が3ライン以上の患者でのハザード比は0.31であり、axicabtagene ciloleucel治療で点推定値はより改善された。また事前に設定された5つの感度分析でもこの結果は維持された。

 以上の結果から、ZUMA-5試験とSCHOLAR-5コホートの比較において、傾向スコア法を用いたところ、axicabtagene ciloleucel治療は臨床的なエンドポイントを実質的に改善したことが示されたとした。

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