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2021/06/15

sabatolimabとHMAの併用は高リスク/超高リスクMDSと新規診断AMLの両方で良好な忍容性と持続的な効果を示す【EHA 2021】

中西美荷=医学ライター

 高リスク/超高リスクの骨髄異形成症候群(vHR/HR-MDS)および新規診断急性骨髄性白血病(ND-AML)を対象とするフェーズ1b試験拡大コホートのサブグループ解析において、抗TIM-3抗体sabatolimabとDNAメチル化阻害薬(HMA)の併用は、免疫介在性有害事象(imAE)や治療関連有害事象(TRAE)がほとんど認められず忍容性良好で、MDSでは奏効率(ORR)58%、奏効期間(DoR)16.1カ月、AMLではORR 42.5%、DoR 12.6カ月という持続的な臨床ベネフィットを示した。6月9日から17日にオンラインで開催されている欧州血液学会(EHA 2021)で、オーストラリアThe Alfred Hospital and Monash UniversityのAndrew Wei氏が報告した。

 8カ国11施設で実施されたこのフェーズ1b試験(NCT03066648)には、改訂国際予後スコアリングシステム(IPSS-R)でHigh riskまたはVery high riskと判定されたMDS患者と、標準化学療法不適格のND-AML患者が登録された。HMA治療歴のある患者は除外した。治療は28日1サイクルで、デシタビン(20mg/m2を第1-5日)またはアザシチジン(75mg/m2を第1-7日)を投与した後にsabatolimab 240mgまたは400mgを2週毎(第1日、第22日)、あるいは400mgを4週毎(第8日)に投与した。データカットオフ2020年6月25日における成績として、良好な忍容性と有望な抗腫瘍効果が報告されている(Brunner AW et al. ASH2020 #657)。今回、データカットオフ2020年9月22日における忍容性/安全性と有効性、バイオマーカー検索の結果が公表された。

 vHR/HR-MDSコホート(53例)、ND-AMLコホート(48例)の年齢中央値はそれぞれ70.0歳(範囲23-90)、75.0歳(範囲59-89)。MDSでは39.6%(21例)がVery high risk、60.4%(32例)がHigh riskで、AMLでは60.4%(29例)がELN分類2017年版のAdverse risk、39.6%(19例)がIntermediate riskだった。

 治療期間はMDSではデシタビン群8.02カ月(範囲0.9-33.5)、アザシチジン群3.84カ月(0.8-17.2)、AMLではそれぞれ6.8カ月(0.8-30.9)、5.98カ月(1.1-16.7)。sabatolimab+HMAの忍容性は非常に良好で、AEによる治療中止はMDSでは1例もなかった。AMLでは治療薬との関連のないAEで2例(4%)、TRAEで1例(2%)が治療中止となった。試験中の死亡は、MDSでは治療関連1例(2%:好中球減少性腸炎と治療の関連が疑われた患者の敗血症による死亡)、AMLでは治療と関連性のない死亡4例(8%)だった。なおMDSでは、造血幹細胞移植(SCT)のブリッジ治療として行われた12例(23%)が治療を中止している。

 AEのプロファイルはHMA単剤で予想されるものと概ね一致していた。Wei氏は「(Sabatolimaは)免疫チェックポイント阻害薬だが、imAEの発現が非常に少なかったことは重要」と強調した。imAEによってsabatolimabの中止、減量、中断を余儀なくされた患者は全101例中4例(4%)のみだった。imAEの可能性があるグレード3のTRAEはAMLの4例のみで、imAEsの可能性があるグレード4/5のTRAEは認められなかった。

 MDSにおけるORRは評価可能例で58.0%(29/50例)、ITTでは54.7%で、うち20.0%が完全寛解(CR)、24.0%が骨髄内完全寛解(mCR)だった。DoR中央値は16.1カ月(6.7-推定不能[NE])、推定12カ月無増悪生存(PFS)率は50.1%(95%信頼区間:27.3-69.2)。またCR達成例のDoR中央値は21.5カ月(95%信頼区間:12.1-NE)に及び、血液学的改善を伴うmCR例の7.3カ月(95%信頼区間:3.0-NE)と比較して大幅な延長を認めた。

 AMLにおけるORRは評価可能例で42.5%(17/40例)、うち25.0%がCR、5.0%がmCR、ITTのORRは35.4%だった。DoR中央値は12.6カ月(95%信頼区間:5.2- NE)で、CR達成例ではさらに長く23.0カ月(95%信頼区間:1.3-NE)だった。推定12カ月無増悪生存(PFS)率は27.4%(95%信頼区間:14.5-42.0)。

 抗腫瘍効果はTP53変異陽性例やELN分類で高リスクとして記載されている遺伝子(TP53、RUNX1、ASXL1)の変異陽性例においても維持されていた。MDSにおけるORRおよびDoRは、TP53変異例で71.4%(10/14例)、14.7カ月(95%信頼区間:6.7-NE)、TP53/RUNX1/ASX1の少なくとも1つの変異陽性例では67.7%(21/31例)、16.1カ月(95%信頼区間:3.0-NE)だった。AMLにおいては、TP53変異例のORRは40%(2/5例)、DoR中央値は4.2カ月(95%信頼区間:NE-NE)、少なくとも1つの変異陽性例で53.8%(7/13例)、12.6カ月(95%信頼区間:1.3-NE)だった。

 ベースラインと2サイクルの治療終了後に実施されたWhole Transcriptome解析では、炎症やMDS、AMLにおいて重要な役割を担う、多彩な生物作用を有するサイトカインであるIL-1βのバイオマーカーとしての有用性が示唆された。治療に反応した患者(CR/PR)と反応しなかった患者(SD/PR)において、腫瘍組織(RNA-seq)でもっとも発現状態が異なっていた遺伝子はIL-1βで、CR/PR例で有意に低下していた。また、シングルセル(sc-RNA-seq)では、IL-1βが骨髄由来の免疫細胞(単球およびマクロファージ)でアップレギュレートされていた一方で、芽球細胞、白血病前駆細胞においてはダウンレギュレートされていた。

 これらの知見にもとづき、現在、The STIMULUS Clinical Trial Programの2つのフェーズ2 試験(STIMULUS-MDS1 [NCT03946670]、STIMULUS-AML1 [NCT04150029]と1つのフェーズ3 試験(STIMULUS-MDS2 [NCT04266301])が進行中である。またsabatolimabがHMAとの併用で、IPSS-RのHigh risk、Very high risk MSDの成人患者を対象とするFDAのfast track 指定を付与されたことが2021年5月25日に公表されている。

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