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2021/06/13

葉酸受容体陽性の卵巣癌に新規蛍光剤OTL38による術中画像診断は病変検出に有用【ASCO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 葉酸受容体陽性の卵巣癌の術中画像診断において、葉酸受容体αを標的とする蛍光剤pafolacianine sodium injectionOTL38)と近赤外光イメージングにより、他の方法では検出できなかった病変の検出が可能であることが、無作為化非盲検フェーズ3試験で明らかになった。

 米University of PennsylvaniaのJanos Laszlo Tanyi氏らが、6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表した。

 卵巣癌の97%に葉酸受容体の過剰発現が認められる。OTL38は葉酸アナログとインドシアニングリーンのような色素を結合した薬剤。腫瘍細胞に取り込まれたOTL38を、近赤外光イメージング装置により可視化することで、病変の検出が可能になる。

 フェーズ3試験(NCT03180307)は、腫瘍減量手術を受ける予定の卵巣癌あるいは卵巣癌の疑いが強い患者を対象に、2018年3月から2020年4月まで、米国とオランダの11施設で実施された。

 試験の目的は、触診や通常の白色光だけでは検出できない病変を検出するため、OTL38と術中の近赤外光イメージングの有効性と安全性を検討することであった。

 OTL38は、画像診断の1時間以上前に、0.025mg/kgが60分で静脈注射された。術中には白色光と触診、および近赤外光での検出が行われた。腫瘍切除後、もう一度、近赤外光で病変を確認し、手術検体は病理診断された。

 試験には150人が登録され(安全性解析集団)、近赤外光と白色光での検出が行われたのは134人、白色光のみが6人、無作為化されなかったのは10人だった。全患者の年齢の平均は60.8歳、白人が85%、閉経後の女性が85%だった。

 有効性の解析は109人(82%)を対象に行われた。漿液性腺癌が81.7%で、ステージIIIの患者が65.3%、ステージIVが15.1%であった。

 手術は、初回腫瘍減量手術が35.8%、インターバル腫瘍減量手術が53.2%、再発卵巣癌の手術が1.8%、そのほかが9.2%だった。手術時間の平均は305.2分(標準偏差SD 128.7)、近赤外光の照射は17.7分(SD 11.9)、合計で752の病変が検出された。

 この結果、33%(109人中36人)において、切除を予定しておらず、通常の白色光や触診では検出されなかった追加の病変がOTL38と近赤外光イメージングによって同定された(95%信頼区間:0.243-0.427)。これは事前の設定を超え、主要評価項目は達成された。

 このうち初回腫瘍減量手術では17.9%、インターバル腫瘍減量手術では39.7%(58人中23人、95%信頼区間:0.270-0.534)だった。

 OTL38と近赤外光イメージングによる卵巣癌の検出精度は、感度が83%(95%信頼区間:73.9-89.4)、偽陽性率は32.7%(95%信頼区間:25.6-40.7)であった。また事後解析でこの手技で5人以上の経験のある外科医においては感度が86.5%(95%信頼区間:73.8-93.6)と高くなり、偽陽性率は28.5%(95%信頼区間:17.7-42.6)と低くなった。このことは、このシステムでの経験により感度や偽陽性率は改善することを示していると述べた。

 薬剤関連の有害事象(AE)は30%(150人中45人)に認められた。主な薬剤関連AEは、吐き気、嘔吐、腹痛だった。ほとんどが軽度から中等度で、多くは術後24時間以内に回復した。薬剤関連の重篤なAEはなかった。

 また治療後に調査した医師報告アウトカムで、術中の近赤外光の使用で手術計画を変更した患者は56.0%、より完全な腫瘍減量ができたのが50.5%、完全切除(R0)が達成されたのは62.4%(109人中68人)であった。

 以上の結果から、このフェーズ3試験は、OTL38と近赤外光イメージングの使用により、他の方法では見落とされる可能性のある病変を同定する試みを支持するもので、これは完全な腫瘍減量手術において外科医の助けとなる可能性があるとした。

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