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2021/06/12

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の初回治療にイブルチニブとベネトクラクスの併用療法は高い効果【ASCO 2021】

八倉巻尚子=医学ライター

 70歳以下の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)に対し、初回治療として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法は深い奏効と持続的な奏効を示し、高リスクの患者においても有望であることが、国際多施設共同フェーズ2試験であるCAPTIVATE試験のFixed-duration(FD)コホートの主要解析で明らかになった。

 イタリアUniversita Vita-Salute San RaffaeleのPaolo Ghia氏らが、6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表した。

 CAPTIVATE試験は、微小残存病変(MRD)コホートと治療期間を固定したFixed-duration(FD)コホートの2つからなる。すでにMRDコホートの結果が報告されている。イブルチニブを3サイクル投与後、12サイクルのイブルチニブ+ベネトクラクスの投与により、3分の2以上の患者で検出不能なMRD(uMRD)が達成された。またイブルチニブ+ベネトクラクス投与後にMRDの状態に基づいた無作為化治療が実施されたが、30カ月後のPFS率は95%以上と良好だった(Wierda, ASH 2020)。

 今回はFixed-duration(FD)コホートにおける結果が発表された。

 FDコホートの試験は、70歳以下で治療歴のないCLL/SLLで、ECOG PS 0-2の患者を対象に行われた。1サイクルは28日とし、イブルチニブ420mg/日の投与を3サイクル行った後に、イブルチニブ+ベネトクラクスを12サイクル投与した。イブルチニブは420mg/日を経口投与し、ベネトクラクスは最初の5週間は20mgから400mg/日まで増量して投与した。

 主要評価項目は、染色体17p欠失のない患者における治験担当医師による評価の完全奏効(CR)および不完全な血球数の回復を伴う完全奏効(CRi)の割合だった。重要な副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間、uMRD率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、腫瘍崩壊症候群(TLS)リスク低減、有害事象(AE)であった。

 159人が登録され、イブルチニブによる導入治療を完了して併用療法を開始した患者は153人、12サイクルのイブルチニブ+ベネトクラクス治療を完了したのは147人(92%)だった。観察期間の中央値は27.9カ月(0.8-33.2カ月)だった。

 全患者の年齢中央値は60歳(33-71)。高リスクの特徴として、IGHV(免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子)変異なしの患者が56%、染色体17p欠失/TP53変異を有した患者が17%、17p欠失が13%、11q欠失が18%、染色体複雑核型が19%であった。またリンパ節のサイズが5cm以上の患者が30%だった。

 治療の結果、17p欠失のない患者(136人)におけるCR/CRi率は56%(95%信頼区間:48-64)、全患者では55%(95%信頼区間:48-63)だった。この結果は事前に設定された臨床的意味のある最小値37%を有意に超え(p<0.0001)、主要評価項目を達成した。

 サブグループ解析では、いずれのサブグループでもCR/CRi率は60%前後だが、リンパ節のサイズが5cm以上の患者(48人)では31%と低かった。

 uMRD率は、末梢血では17p欠失のない患者で76%、全患者で77%、骨髄では62%と60%だった。高リスクの患者でも良好なuMRD率を示した。リンパ節の大きい(bulky disease)患者とそうでない患者でuMRD率に違いはなく、骨髄では63%と59%、末梢血ではどちらも77%だった。IGHV変異なしの患者のuMRD率は骨髄で64%、末梢血では84%だが、IGHV変異ありの患者では53%と67%だった。

 24カ月PFS率は、17p欠失のない患者で96%(95%信頼区間:91-98)、全患者で95%(95%信頼区間:90-97)だった。24カ月OS率は98%(95%信頼区間:93-99)と98%(95%信頼区間:94-99)だった。またIGHV変異なしの患者では推定24カ月PFS率は93%(95%信頼区間:85-97)、IGHV変異ありの患者では97%(95%信頼区間:88-99)であった。

 17p欠失/TP53変異のある患者(27人)においては、CR/CRi率は56%、uMRD率は末梢血で81%、骨髄で41%であった。24カ月PFSは84%(95%信頼区間:63-94)、24カ月OS率は96%(95%信頼区間:76-99)だった。

 腫瘍量に基づいたTLSリスク分類において、ベースラインで高リスクだった患者34人のうち、32人(94%)がイブルチニブ導入治療後に中・低リスクに移行した。臨床症状を伴うTLSは発生せず、臨床検査値異常のTLSもなかった。

 グレード3/4の有害事象は62%に見られ、好中球減少症(33%)、高血圧(6%)、好中球数減少(5%)などだった。

 有害事象による投与中止は8人(5%)で、イブルチニブのみの中止が5人、イブルチニブとベネトクラクスの中止が3人だった。減量は33人(21%)に行われ、イブルチニブのみの減量が9人、ベネトクラクスが18人、イブルチニブとベネトクラクスの減量が6人だった。

 以上の結果から、イブルチニブ+ベネトクラクスによる初回治療は、1日1回の経口投与で、化学療法を行わない固定期間のレジメンとして、高リスクの患者を含むCLL/SLL患者において、深い奏効と持続的な奏効を示したとした。また新たな安全性の問題も認められなかったとしている。このレジメンで高齢者を対象としたフェーズ3試験のGLOW試験が進行している。

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