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2021/06/11

閉経後のHR陽性早期乳癌で術後内分泌療法のAIを5年間追加投与するベネフィットはMammPrintの低リスク患者で大きい【ASCO 2021】

森下紀代美=医学ライター

 閉経後のホルモン受容体(HR)陽性の早期乳癌患者において、術後内分泌療法のレトロゾールを5年間追加投与するベネフィットは、遠隔転移のリスクを70遺伝子シグネチャーで予測するMammaPrintで低リスクとなった患者では統計学的に有意だが、高リスクの患者では有意ではないことが、二重盲検、プラセボ対照のランダム化比較試験NSABP B-42から示された。6月4日から8日にオンラインで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で、米NSABP/NRG Oncology、UPMC Hillman Cancer CenterのPriya Rastogi氏が発表した。

 NSABP B-42試験では、閉経後のHR陽性早期乳癌で、術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬(AI)を5年間、または3年以内のタモキシフェンの投与後にAIを投与して計5年間投与した患者を対象として、さらにAIのレトロゾールを5年間投与し、プラセボと比較した。

 主要評価項目の無病生存期間(DFS)は、レトロゾールを追加投与した群(レトロゾール追加投与群)で有意に延長し、ハザード比は0.85、p=0.01となった。OSに差はなかったが、乳癌無発症期間(BCFI)のハザード比は0.75、p=0.003、ランダム化割り付けから遠隔転移までの期間(DR)のハザード比は0.72、p=0.01となったことがすでに報告されている。

 後期の再発のリスク、内分泌療法の追加によるベネフィットを予測するゲノム分類は、AIの追加投与を推奨する判断を助ける可能性がある。

 今回の解析の主要目的は、レトロゾールの追加投与でベネフィットが得られる可能性がある患者とない患者の特定において、MammaPrintの有用性を判断することだった。副次的な目的は、レトロゾールの追加投与でDFSとBCFIにベネフィットが得られる可能性がある患者とない患者の特定において、MammaPrintの有用性を判断すること、MammaPrintの高リスク(MP-H)、低リスク(MP-L)、超低リスク(MP-UL)の分布を判断することだった。主要評価項目はDR、副次的評価項目はDFSとBCFIだった。

 解析の対象は、NSABP B-42試験の適格患者で、経過観察が行われ、原発腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体が入手可能な全患者。MammaPrintのスコアは、臨床転帰を盲検化してオランダAgendia社で作成した。結果を臨床データと合わせて解析した。臨床データのカットオフ日は2020年4月30日、観察期間中央値は10.4年だった。

 NSABP-42試験の全適格患者は3903人、MammaPrintの結果が得られたのは1866人(MPコホート)、除外されたのは2037人だった。MPコホートでは、37.8%がMP-H、62.2%がMP-L、MP-Lのうち13.5%がMP-UL、48.7%がMP-LNUL(MP-LだがMP-ULではない)だった。患者の分布と腫瘍の特性は、HER2の状態を除き、全適格患者、MPコホート、除外された患者で有意差はなかった。MPコホートは、除外されたコホートと比べて、DRがやや良好で、DRに対するレトロゾールの追加投与がより顕著だった。

 レトロゾールの追加投与のベネフィットは、全適格患者よりもMPコホートでより顕著だった。主要評価項目のDRについては、MP-Lでは統計学的に有意となり、レトロゾール群のプラセボ群に対するハザード比は0.43(95%信頼区間:0.25-0.74)、p=0.002となった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群3.5%、プラセボ群7.2%だった。一方、MP-Hでは統計学的に有意ではなく、ハザード比0.65、95%信頼区間:0.34-1.24)、p=0.19となった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群4.9%、プラセボ群7.3%だった(MPリスク群による治療の相互作用のp値は0.38)。

 DFSについては、レトロゾールの追加投与のベネフィットはMP-Lでは統計学的に有意となり、ハザード比は0.67(95%信頼区間:0.52-0.85)、p<0.001となった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群20.3%、プラセボ群28.1%だった。一方、MP-Hでは統計学的に有意ではなく、ハザード比は1.10(95%信頼区間:0.82-1.47)、p=0.55となった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群28.8%、プラセボ群27.2%だった。(MPリスク群による治療の相互作用のp値は0.015)。

 同様の知見はBCFIでも認められた。MP-Lでは統計学的に有意となり、ハザード比は0.51(95%信頼区間:0.35-0.74)、p<0.001となった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群8.4%、プラセボ群15.4%だった。一方、MP-Hでは統計学的に有意ではなく、ハザード比は1.15(95%信頼区間:0.74-1.79)、p=0.53だった。10年時のリスクは、レトロゾール追加投与群14.6%、プラセボ群11.6%だった。(MPリスク群による治療の相互作用のp値は0.006)。

 MP-Lのサブカテゴリ―では、レトロゾール追加投与のベネフィットは、DR、DFS、BCFIのすべてにおいてMP-LNULで統計学的に有意だったが、MP-ULでは有意ではなかった。MP-ULの検出力は患者数が少なく限定的だったが、ベネフィットはMP-ULよりもMP-LNULで強い可能性が示された。

 Rastogi氏は「これらの結果は、内分泌療法薬を追加投与する患者の選択において、MammaPrintの有用性に臨床的な意義があることを示すもの」とした。

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